日経クロストレンド

40種類以上のARエフェクトをゲーム感覚で“開放”

まず、タカラトミーが行ったのが、難しいヨーヨーの操作性にメスを入れることだ。「ヨーヨーの技ができなくて諦めてしまうのは、昔の流行時もあったこと。それを簡単に技が決められるように“電動化”したのがポイント」と、根岸氏は言う。様々な技を繰り出すには、ヨーヨーをうまく投げて回転を長く持続させることが必要だ。だが、そもそも、その回転を保持すること自体が1つのハードルだった。

そこでタカラトミーは、ヨーヨーの本体にモーターとUSBケーブルで充電できるバッテリーを内蔵。スイッチを入れると、モーターによってバッテリーが切れるまで“無限”に近い状態で回り続ける。これにより、初心者でも技への挑戦をしやすくしたのだ。

本体にモーターを内蔵しており、投げるとLEDで赤く発光しながら回り続ける

現在50代で、第1次ブームを小学生時代にリアルで体験した筆者も、ムゲンヨーヨーで遊んでみた。挑戦したのが、技の1つである「ブランコ」。これはプレー中にストリング(ひもの部分)を指に引っ掛けて三角の形を作り、ひもとひもの間をまるでブランコのようにヨーヨーの本体を前後に揺らすものだ。

ムゲンヨーヨーはモーターでずっと安定して回り続けているため、技の手順を確認しながらゆっくりと形を作ることができ、結果、昔はできなかった技を初めて決めることができた。ブランコ程度の技であれば、ヨーヨーをやったことがない世代や若い女性でも、簡単に習得できるはずだ。

筆者が挑戦した「ブランコ」という技。本体が電動で回転し続けるため、ゆっくりとひもを操っても技を成立させることができた。画像は専用アプリで撮影した動画のキャプチャー

また、もう1つのハードルが、いかに“映える”動画にできるかだ。これに対しては、若者が使い慣れているギミック(仕掛け)を専用アプリに搭載した。動画加工機能である「エフェクト」である。エフェクトとは、例えば動画撮影されている自分の頭に動物の耳を付けたり、目を大きくしたりする映像上の加工のことで、スマホの動画アプリなどでは当たり前のように機能として備わっており、TikTokでも様々な種類が実装されている。

ムゲンヨーヨーは、本体に内蔵したNFC(近距離無線通信)タグで専用アプリと同期するようになっている。アプリのカメラを起動すると、ヨーヨーが回転中に放つLEDの発光色に反応し、その動きの軌道に合わせてAR(拡張現実)エフェクトが出現する仕掛けになっているのだ。

専用のスマホアプリでプレーする様子を撮影すると、ヨーヨーが動いた軌道上に炎などのエフェクトが現れる仕掛け。プレーしているのは開発を担当した根岸氏

エフェクトは現在、40種類以上が用意されている。だが、ムゲンヨーヨーの購入当初は軌道上に炎が出るエフェクトなど基本の5種類しか使用できない。他のエフェクトを入手するには、動画を撮影しながらひたすら練習する必要がある。

というのも、練習する様子を撮影すると、アプリ内で「ケイデンス値」と呼ばれる経験値を取得でき、その経験値をためればためるほど、レベルアップが可能になる。そうしてレベルアップすることで、新たなエフェクトが“解放”され、使えるようになっていくのだ。どのユーザーがどれだけケイデンス値を獲得したかのランキングは毎日更新されるため、その獲得数を競うゲーム要素も備える。

ケイデンス値の獲得数ランキングは毎日更新され、アプリ内で表示される。ゲーム性があり、これも練習や撮影をやる気にさせる仕掛けとなる

ケイデンス値の獲得とレベルアップを繰り返すことで、使えるARエフェクトがどんどん増え、より幅広い表現の動画が撮れるようになる。こうして、若者になじみ深いエフェクト機能を取り込み、動画を撮るモチベーションも高めているのだ。

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TikTokに投稿するまでが「ヨーヨー遊び」と再定義