20代AI起業家は高専育ち 半数留年の技術道場で腕磨く

Liaro代表取締役の花田賢人さん

国立高等専門学校(高専)の出身者が今、注目を集めている。ITエンジニアやロボット開発など「技術のプロ」を育てる5年制の高等教育機関で、コロプラの馬場功淳社長など高専出身のIT起業家も次々飛び出している。その1人、人工知能(AI)技術の開発を手掛けるLiaro(リアロ、東京・文京)代表取締役の花田賢人さん(29)に、現在の仕事や高専を舞台にしたキャリア形成などについて聞いた。

小売り需要予測に特化 「本郷バレー」の一角に

「AIの精度を上げるのは相当難しい。うちは小売りの需要予測に特化して実績を上げている」。花田さんはこう話す。リアロはアパレルなどの需要予測サービスを中心にAI事業を展開。「天候などのデータを分析することで商品の売れ筋情報を瞬時に把握し、収益向上に加えてフードロスなど環境対応にもつなげている」と説明する。

大きな成果として6月に公表されたのは、調剤薬局大手クオールホールディングスとの実証実験だ。リアロのAI需要予測を活用した発注最適化ソリューションの実証実験の結果、1500余りの医薬品は在庫の欠品率が大幅に改善。医薬品の有効期限切れによる廃棄も、9割以上削減されたという。

同社にはAI研究の第一人者、松尾豊・東京大学大学院教授の研究室関係者が運営する「Deep30投資事業有限責任組合」など複数のベンチャーキャピタル(VC)ファンドが出資。2018年に渋谷から東大のある文京区本郷に拠点を移転し、いわゆる松尾研関係のIT企業が集う「本郷バレー」の企業群の1社となった。

松尾研関連のIT企業にはPKSHA Technology(パークシャテクノロジー)、ロボットの自動制御技術のDeepX(ディープエックス、東京・文京)、動画解析AI開発のACES(エーシーズ、東京・文京)など有力ベンチャーが目白押しだ。オンライン診療サービスのMICIN(マイシン、東京・千代田)も、コロナ下で注目を集めた。花田さんがAI開発の方向性で試行錯誤してきた時、松尾教授からは「特化したAIをつくる方がいい」という助言も受けた。

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ITの基礎をたたき込まれた苫小牧高専時代
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