自宅で塩漬けに挑戦する

桜の塩漬けは、単純にその辺りに咲いている桜を摘んできて塩に漬けたらOKというわけではありません。色々なコツがあります。実は塩漬けにする花と葉は別の桜のものが使われています。花の塩漬けの原料は花の色が濃く、見栄えが良い八重桜が開ききる前のものを収穫したもの。また、葉は、柔らかく産毛が少ない、そしてクマリンの生成量が多いオオシマザクラの若葉が主に使用されています。
7分咲きの八重桜やオオシマザクラの若葉が入手できる方は、ぜひ試してみてください。ソメイヨシノで作る場合は、風味や色が余り出ないようですが、食用とすることはできます。ご家庭で桜の塩漬けに挑戦する場合の方法をご紹介します。
▼桜の花の塩漬け
①7分咲き程度の八重桜(300グラム)を摘み、良く水洗いし、水気を拭き取る
②清潔な容器に桜の花を入れ、塩(75グラム)とレモン果汁(大さじ4)を入れて、重しをして3日寝かせる
③②の桜の花をザルの上などに並べ、2~3日天日干しする
④桜についた塩ごと瓶に入れ、保存する
▼桜の葉の塩漬け
①オオシマザクラの若葉を摘み、たっぷりの熱湯にくぐらせ、冷水で締めた後、水気を拭き取る
②葉の重量の2割の重さの塩を用意。容器に塩を振り、その上に①の葉、塩、葉、塩の順番で重ね、最後に塩を振りかける
③②に重しをして冷暗所で約1週間寝かせる
④塩水ごと容器に入れて保存する
塩漬けにする際に、どんな塩を使うかによっても、仕上がりの味わいは大きく変化します。桜の花の塩漬けに適しているのは、ナトリウム以外のミネラルも多く含んだ海水塩。塩そのもののしょっぱさが、うまみや甘味のあるものが多いため、まろやかな味わいに仕上がります。
桜の花や葉の塩漬けを使えば、料理やお菓子に春ならではの風味が加わり、その場の雰囲気がぱっと明るくなります。塩漬けなので年間を通じて使えますが、ぜひこの時期に楽しんでみたいものです。
(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)