「義憤系転職者」が採用面接で評価されないワケ

日経クロステック

キャリアアップや人間関係構築、給与などの待遇面、転職や起業――。技術者の多くは、自分の働き方について様々な悩みや不安を抱えています。人事コンサルタントとして様々な企業の職場活性化を支援する天笠淳さんが、こうした不安を解消し、働く楽しみを見いだすための具体的な方法を紹介します。

「今だから、話す!」といった調子で、過去に自分が見聞きしたことをユーチューブなどで発信する人たちが増えています。一部で「暴露系ユーチューバー」などと呼ばれています。

その内容はさまざまですが、社会的に良くないと考えられていることを白日の下にさらそうとしているものが多いようです。本人が義憤に駆られて訴えているのかもしれません。

この義憤、転職や面接の場面でもよく見られます。「勤務先が間違ったことをしている、それを正そうとしないから辞める」というのは一つの退職理由でしょう。ただ、中途採用面接の場面でそれを前面に出すのはマイナスになることがあります。“義憤系転職者”にならないように気をつけてください。

志望動機ではなく、退職理由を長々述べてしまう

“義憤系転職者”には、中途採用面接で元の勤務先の間違いを訴える人がいます。例えば、自分が正しいと考えているルールと会社のルールに食い違いがあった場合。「会社のルールが間違っていて、自分の考えが正しい」と主張します。

実際、「常識的に考えても会社が間違っている」というケースもあるでしょう。ただし転職の場面では、社会人3年目を超えると「その間違いを正すために何をしてきたか」が重要になります。面接官が聞きたいのもその点です。

その対処の仕方によって、自社に合う人かどうか見極めやすくなるからです。「間違いをある程度は黙認するが、我慢できなくなってから爆発させる」人もいれば、「間違いに気づいた時点で細かく指摘する」人もいます。どんなタイプなのかは、自社への適性を判断する手掛かりになります。

会社の間違いを指摘した結果、状況が改善されれば良いのですが、放置されることもあります。放置されたことに我慢がならずに転職を志したとしても、それをそのまま面接で述べるのはお勧めできません。それは採用側の企業にとってはあくまでも退職理由であり、自社の志望動機ではないからです。

面接官は「それは志望動機ではないし、元の会社への憤りをここで話されても困る」と感じます。そのことは、冷静に考えれば本人もすぐに分かるでしょう。しかし義憤に駆られているときには「こんなにひどい状況を世間に知ってもらわねば」という強い思いを持っていて、無意識のうちに退職理由の説明に多くの時間を使ってしまいがちです。

「自分はそんなことはしない」と思うかもしれませんが、こういう人は実際にいます。例えば労働環境、特にサービス残業の多さに違和感を覚えて転職する人。最近よくある転職理由ですが、「前職の労働環境が悪かった」というのは志望動機の最初に話すべき内容ではありません。最初ではなかったとしても、この話題で貴重な面接の時間を使ってしまうのはもったいないことです。

あくまでも、大切なのは「なぜ応募先で働きたいのか」という志望動機です。その説明に時間を費やしましょう。

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暴露されて困ることはしない