
マスクをしている時間が増えるにつれて、鏡の前にいる時間も増え気味だ。ずっと頑張って来たお肌の気力もさすがに萎えてきてるなあ、とか。独り言をブツブツ。
CMで言っている年齢肌もね。あるある。頬骨の一番高いところ。ちょうどマスクの上の縁が擦れるところ。ここは肝斑(かんぱん、ホルモンバランスの乱れや紫外線が原因と言われている薄茶色の色素斑)の要注意ポイント。できれば摩擦による刺激は一番避けたい場所だ。
唇の縁に小さな吹き出物も時々現れる。小さいくせに化膿(かのう)した時の痛みったら、「!」を語尾に三個は付けて友達にメールしたいくらい試練。
鼻の頭のファンデーションはいつもそこだけ丸く剥げている。剥げた真ん中に狙い澄ましたように吹き出物がポコリ。
丈夫な肌が自慢の私だったが、もう安穏としてはいられないようだ。
鏡の前に立ち、指先で頬から顎にかけてなぞってみる。仕事柄、肌やメイクのプロの皆さんから頂いて来た様々なアドバイスが思い出された。
目の周り、頬、顎先、小鼻は乾燥気味。逆に鼻の頭、眉頭の上は皮脂を感じる。額は乾燥気味で横じわ注意の黄色信号。
手のひらを頬に当てて少し持ち上げ、そっと放してみる。すると頬、顎ラインの緩みがよくわかる。
こうして実際に自分の指で触れ、肌の調子をチェックする事から毎日スタートするのが、いつまでも見た目の若さを保つコツだと教えてくれたのは、まだ二十代の時に化粧品のCMでお世話になったメイク界の大御所と呼ばれる先生だった。実際に触れることで、見ただけではわからない変化に気づけるの、と。
丈夫さにかまけてなおざりにしてしまって来たが、コロナ禍でまた役立った。忘れていなくてよかった。