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ガバナンスの欠如がもたらす間違った判断

実際にガバナンスが機能しなくなった組織の不祥事は、ニュースでも多く報道されています。ガバナンスとは、集団の重要な利害関係者に不利益が生じるような判断をしないよう自らを監視し、律することです。

企業の場合は、株主、従業員、顧客、地域社会などが重要な利害関係者となります。多様性がある意思決定機関では、さまざまな観点で多面的に議論することが可能になります。その結果、幅広い利害関係者の視点が抜け落ちにくくなり、間違った判断を回避できるようになります。

「同じような経験、スキル、考え方の構成員だけで議論をすると判断が偏ってしまうのは容易に想像できると思いますが、自分たちの間違いに気付けなくなる、逆に正しい判断ができなくなると危険信号です。重要な意思決定機関でグループシンクが起きる場合、その影響は計り知れません。政府で起きれば、国民全体に影響を及ぼす問題となります」と只松さんは話します。

「まさに今、コロナ禍の対応で世界のリーダーたちが多様性に着目するわけです。と同時に、コロナにかかわらず、有事の際は社会の脆弱層が一番大きな影響を受けることが報告されています。貧困層、女性、子ども、その他マイノリティーを含む脆弱層が重要な意思決定プロセスに参画できる機会は少なく、その結果、彼ら、彼女たちの視点が抜け落ちてしまうのが理由です。給付金の申請方法でも、DVなどにより家を出ざるを得ない女性などへの配慮が十分ではなく問題となりました」(只松氏)

コロナ禍での対応で世界のリーダーたちが多様性に着目(写真はイメージ=PIXTA)

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とりわけ2020年のコロナの対応では、世界の女性リーダーの活躍が注目されました。しかし、「リーダーが女性だから」コロナ対応が成功したのでしょうか? 次回は、世界の女性リーダーが活躍する背景を紐解き、ダイバーシティの重要性に迫ります。

(構成 日経xwoman編集部、写真 Aiko Suzuki、イメージ写真=PIXTA)

SDGs、ESG経営に必須! 多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門

著者 : 羽生 祥子
出版 : 日経BP
価格 : 1,980円(税込み)

羽生祥子
日経クロスウーマン客員研究員。京都大学農学部入学、総合人間学部卒業。2000年に卒業するも就職氷河期の波を受け渡仏。帰国後に無職、フリーランス、ベンチャー、契約社員など多様な働き方を経験。編集工学研究所で松岡正剛に師事、「千夜千冊」に関わる。05年現日経BP入社。12年「日経マネー」副編集長。13年「日経DUAL(当時)」を創刊し編集長。18年「日経xwoman」を創刊し総編集長。20年「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」始動。内閣府少子化対策大綱検討会、厚生労働省イクメンプロジェクトなどのメンバーとして働く女性の声を発信する。22年羽生プロ代表取締役社長。