ガバナンスの欠如がもたらす間違った判断
実際にガバナンスが機能しなくなった組織の不祥事は、ニュースでも多く報道されています。ガバナンスとは、集団の重要な利害関係者に不利益が生じるような判断をしないよう自らを監視し、律することです。
企業の場合は、株主、従業員、顧客、地域社会などが重要な利害関係者となります。多様性がある意思決定機関では、さまざまな観点で多面的に議論することが可能になります。その結果、幅広い利害関係者の視点が抜け落ちにくくなり、間違った判断を回避できるようになります。
「同じような経験、スキル、考え方の構成員だけで議論をすると判断が偏ってしまうのは容易に想像できると思いますが、自分たちの間違いに気付けなくなる、逆に正しい判断ができなくなると危険信号です。重要な意思決定機関でグループシンクが起きる場合、その影響は計り知れません。政府で起きれば、国民全体に影響を及ぼす問題となります」と只松さんは話します。
「まさに今、コロナ禍の対応で世界のリーダーたちが多様性に着目するわけです。と同時に、コロナにかかわらず、有事の際は社会の脆弱層が一番大きな影響を受けることが報告されています。貧困層、女性、子ども、その他マイノリティーを含む脆弱層が重要な意思決定プロセスに参画できる機会は少なく、その結果、彼ら、彼女たちの視点が抜け落ちてしまうのが理由です。給付金の申請方法でも、DVなどにより家を出ざるを得ない女性などへの配慮が十分ではなく問題となりました」(只松氏)

◇ ◇ ◇
とりわけ2020年のコロナの対応では、世界の女性リーダーの活躍が注目されました。しかし、「リーダーが女性だから」コロナ対応が成功したのでしょうか? 次回は、世界の女性リーダーが活躍する背景を紐解き、ダイバーシティの重要性に迫ります。
(構成 日経xwoman編集部、写真 Aiko Suzuki、イメージ写真=PIXTA)
