職場で女性だけ特別扱いする必要ある?と言われたらD&I、ジェンダー平等入門(3)

日経xwoman

2022/9/14
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『SDGs、ESG経営に必須! 多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門』(日経BP発行、羽生祥子著)から一部を抜粋し、なぜ日本のダイバーシティが立ち遅れているのかを明らかにする連載。前回の記事「女性活躍が進まない『言い訳トップ5』はこれだ」で紹介した「言い訳」一つひとつに対して、さらに詳しく見ていきます。

多様性がない組織によくある「言い訳」トップ5の中から、取材を通して最もよく聞いたのが、「女性だけ特別視する必要があるの?」というもの。この発言をどう考えていけばよいのか、根拠となるデータを見ながら考えていきましょう。

「女性だけ特別視をするのはおかしい」の罠

職場において性別とは関係なく仕事をすべきだというのは、その通りのことだと思います。しかしながら、その前提である「性別とは関係なく仕事ができているか」という点において、すでに現実は違います。次のデータを見てみましょう。職場において、男女の役割分担が国際的に見ても日本は非常に偏っているのが明らかです。本当に、男女同様に育成登用の機会を与えられた結果が、このようになっているのでしょうか?  データを詳しく見てみましょう。

上の棒グラフは、就労者に占める女性比率の国際比較です。日本は44%で、半数弱となっています。ご覧の通り、フランスやイギリス、アメリカなど欧米諸国や、ダイバーシティ先進国として有名なスウェーデン(いずれも40%台後半)などと比べても、ひけをとらず高い割合です。職場に女性は、すでにたくさんいるのです。

国際的に見て、日本は組織内で「性別による役割」がある

一方で、下のグラフを見てください。管理職に占める女性比率を高い順にグラフで並べています。先に挙げた欧米諸国が30%台半ば~40%台なのに対して、日本はわずか15%以下です。ここから分かるのは、組織内に女性はたくさんいるのに、管理職になると、とたんに女性が少なくなってしまうことです。裏返せば、管理職は男性ばかり…ということです。

ですから、「女性だけ特別扱いをするのはおかしい」という前に、「男性ばかりで管理職集団を形成している」という事実に目を向けるべきです。女性社員の数が少ない、本人が管理職を辞退する……など声が聞こえてきそうですが、これらもすべて「やらない言い訳」です。これらの言い訳も後ほど分析・解説していきたいと思いますが、まずは実態を直視しましょう。この状態はまさしく「男性という単一な集団」であり、多様性を欠いたチームそのものなのです。

「男性だけで何が悪いのか?」と思った方は、次に示す多様性欠如のリスクを知っておきましょう。

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多様性が低い組織で起こる、危険な意思決定パターン