海外で活躍するのに必要なお金 テックも上手に活用「石倉洋子さんと考える 今必要な世界で戦うスキル」後編

「海外で活躍するための最初の一歩は?」「社会人として海外で学んでいる人の体験談を聞きたい」――。大リスキリング時代を迎える中、こうした問題意識を持つ方に向け、NIKKEIリスキリングは、「世界で活躍する」を長年実践してきた一橋大学名誉教授の石倉洋子さんと、会社員のキャリアを中断してベルギーの大学院で学ぶエディターの雨宮百子さんによるウェビナーを実施した。2回にわたり、当日の模様をお届けする。前編「海外でスキル磨きたい? 慎重な準備と最後はエイヤ!」に続く後編はお金やテクノロジーの上手な活用方法などについて。(司会=NIKKEIリスキリング・桜井陽)

桜井 前半は、海外でキャリアを積む際の具体的な準備の方法や、変化を求めるのであれば「エイヤ」と決断する賭けのような精神が必要というお話でした。さて、とはいえ先立つもの、つまりお金のことも考えないといけないですよね。後半は、世界に挑戦する上でのマネー戦略からお聞かせいただけますか。

欧州はアメリカより安価

雨宮 アメリカの大学院はかなりお金がかかりますが、欧州はそれに比べて安価です。ベルギーに関しては、日本人でEUに所属していない私はだいたい年間学費が日本円で60万円くらいですね。欧州も国ごとに違っていて、イギリスはアメリカと同様に高いですが、フランスは安いですし、中には学費が無料の国もあります。奨学金の制度もありますし、きちんと調べれば、お金は思ったほどネックにはならないです。

アメリカ英語じゃなくちゃイヤだ、という人は別ですが、欧州の大学院は様々な国から生徒が集まっているので、授業が英語の場合が多いですし、欧州の人はきれいな英語を話します。また、英語に加えて、私の場合はフランス語ですが、さらに別の言語を学ぶことも可能ですので、そういう意味ではお得です。

桜井 お金を言い訳にする必要はなく、まずは動いてみるというのが正しいのかなと、お話を聞いていて思いました。さてでは、「日本にいながらすぐにできること」というのを雨宮さんが整理してくださっていますので、お話ししていただけますか。

短期プログラムで腕試し

雨宮 留学先として興味がある学校がもしあれば、ちょっと調べてみると、たいていオンラインや夏・冬の短期プログラムが見つかるはずなんですよ。本格的に留学する前にそうしたプログラムで腕試しするのはおすすめです。また、オンライン学習コンテンツのKhan Academy(カーンアカデミー)とかCoursera(コーセラ)など、無料や安価なインターネット上のコースがいくらでもあります。そこで海外で学ぶことのプレ体験ができますので、申し込んでみるというのも、すぐにできることかな、と。

あとは、前にも言いましたけどLanguage Exchange(ランゲージエクスチェンジ)で海外の人と仲良くなって、素の生活を知るのも面白いです。もう少しビジネス寄りの話で言うと、マッキンゼーやTIMEとかが良質なリポートだったりとかニュースレターを出しているので、登録して読むだけでも世界の出来事がわかります。

石倉 私は海外メディアによる英語のPodcast(ポッドキャスト)を毎日聴いていますけど、それだけでも世界の動きが垣間見られる。それも色々な情報源を試すのがよく、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル、イギリスのエコノミスト、BBC、それにサイエンス系とか。色々な国、地域、タイプを組み合わせて、毎日聴いていると、世界観が変わります。

桜井 特にお金をかけずに日本でやれることは結構ありますね。関心のある方はぜひ、行動してみてほしいですね。

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