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リモートワークの普及や雇用の流動化――ビジネスパーソンを取り巻く環境が激変するなか、キャリアや仕事の悩みを抱える若手社会人は少なくありません。連載「20代のおしごと相談室」では、メンタル問題のプロである産業医の大室正志さんと、ビジネスのプロである経営共創基盤・共同経営者の塩野誠さんが、仕事やキャリアにモヤモヤを抱える20代のお悩みに答えていきます。

今回の相談者は、ITコンサルを手掛けるベンチャー企業の新入社員Cさん。ほぼリモートワークのため、入社以来、数回しか顔を合わせていない上司から「チャットで指摘が飛んでくるのが怖い」と悩んでいます。

お悩みカルテ #3
「上司のチャットが怖い」(23歳女性、ITコンサル)
 上司から、毎日のようにチャットなどで詰められるのがつらいです。文章がきつくて、「だめ人間」「甘えるな」などと、同僚も見ているグループチャットでダメ出しされます。
 会社全体の雰囲気も、ことあるごとに反省文を書かせるなどダメ出し文化の社風です。最初は意見したこともありますが、そのせいか、「自分はデキると思ってるかもしれないけど、生意気だ」「1年目で1番日本語が下手」などと指摘が厳しくなりました。残業時間がかなり増え、タスクを減らせないか相談したときも、「限られた時間に終わらせるのが普通だろ。終わらないなら土曜日にやれ。同期はできるのになんでおまえはできないんだ」と、またダメ出しされます。他の会社がわからないのですが、この環境はおかしいでしょうか?
 もともと就活で志望していた会社は全て落ちてしまい、それなら語学力を生かそうと考え、「海外に行けるチャンスがある」と聞いて入ったのが今の会社です。好きな仕事ならともかく、全然やりたいことではないので転職したいとは思っています。ただ、1年目だからつらいのは仕方ないんじゃないかと考えたり、1年足らずで転職すると傷がつくんじゃないかと思ったりして踏み出せず……。「できない人間」と言われすぎて自信もありません。

塩野 もう令和なのに、こんなことがあるんですね。

大室 これはひどいケースですが、リモートワークで上司のメールやチャットが怖いっていう相談は増えましたね。短い言葉で用件だけ言うから、「あの件どうなった?」という質問だとしても、受け手はぶっきらぼうに聞こえて怖いんですよね。

少し話はそれますが、ビートたけしさんってよく「バカヤロー」って言うじゃないですか。それって言葉通りの意味じゃなくて、愛情表現だったり、照れ隠しだったりする場合もある。同じ言葉でも水墨画みたいにグラデーションがあって、これに代表される日本のコミュニケーションの特徴って非常に「ハイコンテクスト」なんですよね。文脈を共有していないとわかりにくい。

塩野 20年ぐらい前ですが、友人が落語家に弟子入りしたときに、師匠が「シュ、シュ」と言ってきて。わけがわからず戸惑っていると、「ティッシュのことだ、バカヤロー」って怒鳴られた、なんて話もありましたね。

大室 落語家もさることながら、弁護士やコンサル、商社など多くの組織で脈々と受け継がれてきた「マウント芸」ってあるんですよね。例えば、官僚の方から以前聞いたのは、先輩が文章を添削するときに、赤字がめちゃくちゃ入って最終的に「おまえが作った文章、使えるのは句読点だけだったぞ」と(笑)。典型的な知的マウンティングです。新人にはまずガツンと厳しくする、賢いと思っているやつの鼻っ柱をへし折るみたいな。それに耐えられたら我々のギルドに加入できる。

塩野 イニシエーション(通過儀礼)ですよね、仲間認定みたいな。

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