2022/12/14

確定申告をした場合、所得税からの控除はふるさと納税が住宅ローン減税の控除よりも優先される。結果として、所得税から差し引ける住宅ローン控除額は減ることになる。所得税だけで住宅ローン控除額が収まらなければ、翌年の住民税から差し引くことになる。ただし、住民税から控除できる金額には上限があり(14年4月〜21年12月に入居した人の場合なら前年度課税所得×7%、最大13万6500円)、超えた分は控除されない。

ワンストップ特例なら、ふるさと納税の控除は全額、翌年の住民税から差し引かれるため住宅ローン控除に影響はない。住宅ローン控除は初年度のみ会社員でも確定申告が必要だが、2年目以降は勤務先の年末調整で対応できる。2年目以降に該当する人は、ワンストップ特例の申請書を準備しておこう。

確定申告時はふるさと納税分も

ワンストップ特例が使える会社員でも、確定申告をした方がいいこともある。例えば、ふるさと納税の上限額を超える寄付をした場合だ。確定申告とワンストップ特例では控除額の計算方法が一部異なる。寄付が上限額の範囲内に収まればどちらもほぼ同じ控除額だが、限度額をオーバーした場合は確定申告をした方が有利だ。

もしワンストップ特例で一部の寄付の申請書を出し忘れたとか、申請書の提出期限に間に合わなかったとしても、確定申告をすれば控除が受けられる。年末に駆け込みで住宅を購入したり、自分や扶養家族が急病で入院したりといった、急に確定申告が必要なことがある際にも、注意が必要。ワンストップ特例の申請書を提出していても、確定申告をすると無効になってしまうため、必ず、ふるさと納税の分も合わせて申告しよう。

ふるさと納税はもはや、地方経済活性の潤滑油というだけに止まらない。コロナ禍では外食向けの需要減で生じた食品ロスの受け皿となり、医療従事者・支援者支援においても実績を残した。さらに、海洋ごみ対策(岩手県)、日本を支える科学技術の推進(茨城県つくば市)、カーボンニュートラル実現の推進(堺市)など、寄付金を活用した国家、世界規模の課題解決のための取り組みも増えている。22年はそうした例年とは少し違う視点からも、ふるさと納税を見直してほしい。そして年末に向け、早速寄付の準備を始めよう!

(ライター 森田聡子)

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