元船乗りのシェフが選ぶ魚介のイタリアン 東京・渋谷

dressing

2022/2/7
人気メニュー「活きオマール海老のブイヤベース」

多くの店が生まれては消えていく渋谷で、1990年の創業以来30年以上愛され続けてきたイタリアンレストランが「Bistrot La Cucina(ビストロ ラ クッチーナ)」だ。

次々と新しいスポットが登場する刺激的な街・渋谷という場所にありながら、落ち着いた空間でワインと料理をゆったりと楽しめる、大人にお薦めの一軒である。

Summary
1.本場イタリアのような空間 渋谷で30年愛されてきた隠れ家イタリアン
2.活きオマール海老など魚介のうま味がギュッと詰まったブイヤベース
3.珍しいイタリア産ブドウ品種のワインをグラスで楽しめる

夜遅くまで喧騒(けんそう)の絶えない渋谷センター街。その通りの奥にあるビル地階に店がある。エレベータで降りていくと、目の前に現れるのは、渋谷のど真ん中とは信じられない、イタリア街角にあるレストランのような空間。

天井が地階とは思えないほど高く、テラコッタ色の壁、ヨーロピアンアンティークの家具や調度品などが、まるで旅行に出かけた気分にさせてくれる。

息の合ったチームワークで出迎えてくれるのが、オーナーシェフの石井和雄さんと、サービスとワインを担当するマダムの恵子さん夫妻、スタッフのコスルさんだ。

元船乗りだったという石井さん。子供の頃から料理が好きで、船で料理の基礎を身に付けた後、洋食一筋でキャリアを重ねてきたベテランだ。一方、恵子さんは元客室乗務員(CA)。洗練されつつも、気取らないサービスが、訪れた人をリラックスさせてくれる。

「新婚旅行でイタリアを訪れたのですが、有名レストランより、海辺で漁師さんがやっているような小さなレストランで食べた、地元の魚介を使った料理がおいしくて、忘れられませんでした」と石井さん。

旅先で知った、気取らないシンプルに素材を生かしたイタリアンの感動を届けたい。そんな思いが店の原点となっている。

「イタリアには色々な地方の料理があって、『ビストロ ラ クッチーナ』はどの地方の料理なの? とよく聞かれるんですよ。そのときは『日本のおいしい食材を生かしたイタリアン』とお答えしています。日本には、魚介でも野菜でも質の良い食材がたくさんあります。イタリア北部や南部など地域にこだわらず、日本の食材を生かすイタリアンにしようと思いました」(恵子さん)

日本全国から届く新鮮な魚介類や、キノコとりの名人から取り寄せる天然キノコなど、長年培ったネットワークから飛び切りおいしい旬の食材が「ビストロ ラ クッチーナ」には集まってくる。これらの食材を使い、奇をてらわず、日本人に親しみやすい味に仕上げたイタリアンの数々。さっそく、紹介してみよう。

「前菜の盛り合わせ」。10種類ほどの前菜から好きなもの5種類を盛り合わせてもらえる

訪れた人がほとんど注文するという「前菜の盛り合わせ」。黒板にいつも10種類ほどズラリと並ぶ前菜から好きなものを5種類、盛り合わせてもらえるというから、うれしい限り。

取材時は「切り立てパルマ産生ハム 手きりで」「カポナータ(冷製野菜のトマト煮)」「8種類の野菜のテリーヌ」「北海道産ツブ貝のガーリックバター焼き」「ホタテとエビ、ズワイガニのムース、バラの花仕立て」の5種の前菜の盛り合わせだった。

丸ごと送られてくる生ハムは手切りで厚めにカットしているので食べごたえ十分。真ん中のムースは、シェフ自身が手の甲を使って、極薄に伸ばしたパートフィロ(洋風のパイ生地)でムースを包んだもの。パートフィロは、口に入れた途端に、パリッ、ホロッとくずれるほどの薄さ。中から現れるホタテとエビ、カニの甘みたっぷりのムースとの食べ心地がたまらない1品だ。