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店の歴史つまみに江戸前寿司を堪能 東京・築地

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NIKKEI STYLE

「築地玉寿司」などを各地で展開する老舗の江戸前寿司(すし)店、玉寿司(東京・築地)がこのほど「築地玉寿司 築地本店」の2階に新店舗を開業した。屋号も「鮨(すし) 本店上(のぼ)ル」で、そのものズバリのネーミングだ。カウンター19席のみの完全予約制の店で、店の歴史を踏まえたストーリー性に富む店舗デザインも特徴だ。昭和のレトロ感漂う落ち着いた空間で、江戸前すしを堪能できる。

築地本店の2階はもともと同店の宴会場(約40人収容)として利用されていた場所だった。新店舗誕生のきっかけは、昨今の新型コロナウイルス禍。大人数での宴会需要が激減し、新たな対応を迫られた。「コロナ禍以降、大口の宴会は減ったが、少人数のプライベートな需要は依然根強いものがある」。玉寿司4代目の中野里(なかのり)陽平社長の目にはそう映った。そこで大小2つのカウンターを設け、席数は計19と密を回避し、プライベートな需要にしっかりと対応した店に作り変えることを決断、大改装に踏み切った。

新店舗のデザインは「築地玉寿司の礎を築いた2代目店主をイメージしたものになっている」(中野里社長)。「完全予約制」のすし店と聞くと、白木の一枚板がどーんと広がる店内をイメージするが、この店は温かみのある茶色の寄せ木のカウンター。店内の照明も抑え気味で、ゆったりとしたソファの席に腰を下ろすと自然と落ち着いた気分にさせてくれる。

玉寿司は1924年(大正13年)、築地のこの地で創業し2024年には100年目を迎える。「創業者の中野里栄蔵が終戦の年(1945年)に病気で他界し、その後を継ぎ、2代目となったのが、栄蔵の伴侶の『こと』でした。3代目店主(中野里社長の父、孝正氏)にバトンタッチする65年(昭和40年)までの間、必死に店を切り盛りしてきました」。創業以来の玉寿司の歴史を明かす中野里社長の祖母が、ことさんであり、「必死に切り盛りした」という表現も決して誇張ではない。

終戦は8月だが、その直前の3月に見舞われた東京大空襲で、店も住居も焼失した。「玉寿司をたのむ」という夫の遺志を継ぎ、当時まだ珍しかった「女板前」として4人の子どもを抱えながら、店の再建に奮闘する道のりを思えば、その苦労は並大抵のものではなかったはずだ。

「壁やカウンターの素材にこだわり、あえて古木感をデザインしたのは戦後の焼け野原から立ち上がった2代目(ことさん)をイメージしているから」(中野里社長)という。

だが、ことさんのレガシーを継承するのは、店舗デザインだけに限らない。満足な冷蔵庫もなかった時代からの生活の知恵である「発酵」に着目し、自家製の自然発酵調味料「醤(ひしお)」を用いた料理を加えている。

例えば「鮑(アワビ)のお造り」。食べやすいよう細かく包丁を入れ、タマネギの醤を合わせた鮑の刺し身の横に肝と醤をあえた肝しょうゆを添えている。また、パリパリのノリに巻いていただく「卵黄漬け」は、醤に漬けた卵黄のコクが口の中いっぱいに広がり、何ともたまらない。

職人のひたむきな姿勢ひしひしと

「若い衆をかわいがれ」という、ことさんの教えを受け継ぐ玉寿司では、若手すし職人の育成のため「玉寿司大学」を6年前から開校。すしの握り方など「技術力」と「接客力」「人間力」をそれぞれ教育のプロから学ぶ場を設けている。毎年10人前後が入門し、約5カ月間、ノウハウの習得に励んでいる。

「鮨 本店上ル」はそんな若手が実践で学ぶ場としての役割も果たす。カウンター内ではすし職人歴27年というベテラン店長の下、キャリアが浅い若手スタッフがサポートで入り、客と向き合う。男性のすし職人がいずれもスキンヘッドである理由を聞くと、「髪の毛が落ちないよう衛生面での配慮からです」(中野里社長)。すし職人たちのひたむきな姿勢がひしひしと伝わってくる。

「鮨 本店上ル」の営業時間帯は夜(午後5時から)のみで、2種類のおまかせコースの中から選ぶ。「極み」コースはお造りや茶わん蒸しや握りなど全16品ほど(税込み1万6500円)、「口福(こうふく)」コースは全13品ほど(同1万4300円)。5500円(税込み)プラスすれば「限定ペアリング」で、乾杯用のスパークリングかビールと日本酒3種プラスワインなどお好みのドリンク2種が付き、料理に合わせたペアリングが楽しめる。

生前のことさんについて、中野里社長は「いつもユーモアある丁寧な接客を心がけていたが、商売には厳しく、板前たちには食材を無駄にすることがないよう常に指導し、『もったいない』が口癖だった」と振り返る。その精神を受け継ぎ、のどぐろの「あら汁」や、マグロの皮の「煮こごり」、魚の骨を使った「骨せんべい」など通常使われない部位を用い、おいしく仕立てた「つまみ」も今後、提供していく考えという。

目の前に並ぶ厳選された素材に一手間加えた一品料理や、赤酢のシャリと一緒になったにぎり――自然と手が伸び、いつしか杯を重ねている自分に気づくことだろう。

(堀威彦)

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