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NIKKEIリスキリングの連載「職種&スキルの図鑑」では、注目の職種で活躍している人に、どんなスキルが必要なのか、どうすれば身につくのかを聞き、関連するスキルも解説する。第3回は引く手あまたの「データサイエンティスト」について、前編と後編に分けて取り上げる。

<記事のポイント>
・データ分析は手段。大切なのは分析結果が現場の「意思決定」に使われること
・最も重要なスキルは「ビジネス課題特定」
・文系でも挑戦可能。ビジネスセンスを持っている人の方が成長できる

「21世紀で最もセクシーな職業」として、データサイエンティストが一躍知られるようになったのは約10年前。その後、AI(人工知能)の活用や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、データサイエンティストの需要はますます高まっている。

一般社団法人データサイエンティスト協会(東京・港)が2022年3月に公表した調査によると、直近1年間でデータサイエンティストの採用を増やした企業は4割に上り、「目標通りに確保できなかった」と人手不足を訴える企業も6割に達した。

そんな引く手あまたのデータサイエンティストの仕事とは実際どんなもので、どんなスキルが必要なのか。今回、解説をしてくれるのはキーエンスのデータサイエンティスト、山本祥武さん。山本さんは、同社のデータ分析ソフトウエア「KIシリーズ」を導入した企業の担当者が、さまざまなデータを実際のビジネスに活用できるよう支援する「データ活用の先生」だ。

データ分析のために手を動かす時間は意外と少ない

キーエンスの「データ活用の先生」

キーエンスの「データ活用の先生」

あらゆるデバイスがインターネットと繋がったことで、企業にはさまざまなビッグデータが蓄積されるようになりましたが、データというのは集めただけでは何の価値も生みません。データサイエンスの目的は、膨大なデータの中からビジネスの役に立つ知見を引き出し、日々の業務に生かすことにあります。

データサイエンティストに近いものに「データアナリスト」や「機械学習エンジニア」があります。

前者は統計分析のスキルを使って目的に合わせてデータを収集・分析し、その結果をグラフなどに可視化して、業務改善につなげるのが主な仕事です。後者は、データ分析の結果をもとに需要予測モデルなどのアルゴリズムを開発するエンジニア。グーグルのレコメンドモデルを作って運用しているような人をイメージしてもらえばいいでしょう。

データサイエンティストと称する人たちの中にも「データアナリスト」寄りの人と「機械学習エンジニア」寄りの人がいて、私自身は両方を経験してきました。前職の電機メーカーでは、お客さまが購入した家庭用燃料電池が故障した際、複雑な機械内部のどの部分に問題があるかをデータから素早く特定し、短時間で修理できるようにする機械学習のモデルを作っていました。一方で、マーケティングデータを分析して、どういう商品ならヒットしそうかを提案する仕事もしていました。

では、データサイエンティストは何をするのか。厳密な定義はありませんが、私は「ビジネス上の意思決定に本当に役に立つのか」という視点に立って、必要なデータ分析の手法やモデルを設計し、分析結果が組織の意思決定に使われるようさまざまな調整までする仕事だと捉えています。

データサイエンティストというと、一般的にはずっとコンピューターに向かって数値計算をしているイメージが強いでしょう。でも実はデータに向き合っている期間は、プロジェクト全体の2割程度に過ぎません。あとの8割は分析に関わるさまざまな立場の人と話をして、解くべき課題を考えたり、分析結果を有効に活用してもらえるよう調整や交渉をしたりしているのです。

私がデータサイエンティストに必要だと考えるスキルは、以下の5つです。

ビジネス課題特定
②統計解析
③機械学習
④データ加工・可視化
ステークホルダーマネジメント
(※各スキルの初歩が学べる別記事を順次追加していきます)

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