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パリ五輪を目指す女子バスケHCの恩塚さん

パリ五輪を目指す女子バスケHCの恩塚さん

2024年のパリ五輪を目指すバスケットボール女子日本代表チームを率いるヘッドコーチ(HC)の恩塚亨さん(43)。学生時代は無名選手だったが、06年に東京医療保健大学でゼロから女子バスケのチームを立ち上げ、17年から全日本大学選手権で5連覇を成し遂げた。東京五輪ではアシスタントコーチとして史上初の銀メダルに貢献した。自らリスキリングしてコーチングを極めた。恩塚流のコーチング手法とは。

上からガンガン指示スタイルを変更した理由

――今の日本のビジネス界では、高圧的なリーダーや管理職は全面否定される傾向にあります。スポーツ界も「鬼監督」は少なくなかったようですが。

「以前は私も一方的というか、『こうやったら勝てるよ、勝ちたいでしょ!』と上からガンガン指示するタイプでしたね。そのシュートは何%の確率で入り、外したら、リバウンドをとってゲームを支配しろと。自分は1年中休まず、頑張って指導しているのに、なぜ指示通りにやれないのか、うまくやれなかった選手には怒りを覚え、自分でもイライラしていました。しかし、ある時フッとこの指導法は違うなと気づきました」

――何か気づくきっかけがあったのでしょうか。

「大事な試合でのうちの選手のワンプレーを見た時、あれと思ったのです。この位置でボールを受け取ったら、次にこう攻撃に移ろうと、1年間必死で練習してきたのにその行動をとれなかった。非常に優れた有望な選手だったのに、なぜトライできないとイラッとしました。しかし、脳科学的な視点で分析してみると、人間は追い込まれたり、プレッシャーを感じたりすると、脳は失敗を恐れ、逃げるという選択肢をとりがちなのだと。いつの間にか自分は彼女を追い込んでいたのでは思ったのです」

「その頃は自分も精神的にクタクタになっていました。19年の全日本大学選手権で3連覇した記者会見に撮った私と主力選手2人の写真をみると、誰もうれしそうな笑顔を浮かべていない。優勝したのに、喜んでいない、愕然としましたね。06年に大学でチームを立ち上げ、無我夢中でやってきましたが、選手は本当に心を開き、プライベートな相談してくれることはなかった。みんなバスケが好きだから始めたはずなのに、常勝が続くと、失敗を怖がり、ワクワクしなくなってしまう。コーチング手法を改めようと考えました」

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