変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

伊藤邦雄・一橋大学CFO教育研究センター長

伊藤邦雄・一橋大学CFO教育研究センター長

日本企業は今、「人的資本経営」の推進が求められている。人的資本とは人の能力やスキルを一種の資本として捉える概念、欧米では人への投資の成否が株価も左右するようになり、一気に普及が進んでいる。2023年度から日本でも上場企業中心に人材育成や多様性などをテーマにした経営情報の開示が迫られている。22年夏に発足した「人的資本経営コンソーシアム」会長の伊藤邦雄・一橋大学CFO教育研究センター長になぜ今、人的資本経営かについて聞いた。

トヨタも変革期、リスキリングは必要

――昨年、経済界で人的資本経営という言葉が急速に広がりましたが、伝統的な日本企業の経営者や人事担当者の中から戸惑いの声も上がっています。なぜ今必要なのですか。

「これまで多くの日本企業は終身雇用制で年功序列型というシステムだった。現場主義によるOJT(職場内訓練)で人材育成にあたった。これで成長している時は問題なかったが、国際競争力を急速に失ってきている。デジタル化が進み、パラダイムシフトの波が押し寄せている。日本のトップ企業、トヨタ自動車など自動車大手も変革期にある。自動運転、コネクテッドカー(つながる車)、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス),トヨタの場合は、『ウーブン・シティ』という未来型の都市までつくろうとしている」

「1月下旬にトヨタの豊田章男氏の社長退任発表は、やはりクルマづくりのパラダイムが急速に変化し、従来のパラダイムやその延長では未来にうまく適応することは難しく、新たな発想法やスキルが必要なことを我々に焼き付けた、実に未来志向的な行動だったと捉えている。まさに企業は人に投資して新たな人材育成に迫られている。リスキリングが必要ですね」

――確かに国も企業もリスキリングを促し始めました。ただ社員の中には反発する声も出ているようですが。

「確かに中高年の社員には『早く言ってよ!』という人もいるでしょう。これまでは人事異動を受け入れ社内の決められた部署で真面目に働いて、定年まで勤め上げれば,それで良かったのに、いまさら学び直せといわれても困るという人は少なくない。しかし、メンバーシップ型雇用に限界が来ており、ジョブ型雇用も導入され始めている」

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック