
リユースショップやフリマアプリなどで古着を手軽に買うことができるようになった。店頭やネットに出回る良品の数も格段に増えているという。偶然の出合いが面白いのだが、より良い服を手に入れるためのコツは知りたい――。古着ライフを楽しむ連載の最終回では、服飾評論家の石津祥介さんと、古着店回りのベテランで外資系金融機関に勤める安藤健治さんに、失敗しない古着選びの勘所を聞く。
アウトドアウエアの古着 作りのよさが魅力
――こうして見てくると、古着の中でもアウトドアウエアだったら良質なものが数多く見つけられそうな気がしてきました。
安藤「そう。僕もそれが楽しみなんです。古着ではめずらしい一点物が見つかるだけでなく、昔のものは作りがいい、ということも発見できます。特にアウトドア関連はいいですよ」
石津「たとえばアウターでいけば、モンクレール。今でもはやりのブランドですけど、もっと昔のモンクレールはスキーをするためのウエア。それはもう、防寒対策が万全です」
安藤「今人気があるノースフェイス、パタゴニア、L.L.ビーン、バブアーだって、1960年代、70年代のものは、バイク用や狩り用など用途別にアウトドアのしっかりした作りです。そこからどんどん素材が進化して、軽くなり、今風になっているけど、それとは異なる良さがあります」
――アウトドアブームの今なら武骨なものも着たくなります。薄く機能的に進化したウエアは便利な半面、街着として着るには物足りなさも感じます。
石津「いい例がラガーシャツだよね。ラグビージャージーは本来ものすごく厚地で、引っ張られても破けないように胸元が切り替わっていない。今のつるつるした作りとは違う味わいがあって、カジュアルスタイルに合わせたいよね」
――このビンテージのノルディックセーターはどういうものですか。
石津「昔はこういうセーターは、テニスならチルデンセーターというように、スポーツ用途に合わせて選んだものなの。この赤いのは僕がスキーをするために買ったセーターで50年前のもの。ノーレンダーというノルウェー製で、ニットはやっぱり北欧のノルディックニットが本物だよね。おばあちゃんたちが編んだようなぬくもりがあって、おそらく手編みだから、こういう留め具なんでしょう。こちらのネイビーに赤と白がまじっているセーターはL.L.ビーンの20~30年前のもので、タグを見るとメード・イン・ノルウェーと書いてあるでしょう」


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