大室 3つ目は現実的ではないかもしれないけど、しかるべきホットラインに「飲み会でこう言われました」って訴えていく。ただ、古い職場だとホットラインがちゃんと機能していないことが多いから、難しいんですよね。

塩野 確かに「最初が大事」問題はありますよね。最初に迎合というか、「仕方ないか」って一度受け入れてしまうと、なかなか「もう違うんです」って言いにくくなる。だから部署が変わるとかそういうタイミングで「転校生」のように新キャラデビューするしかなくて。でも意外と、部署が変わると全然違う世界があったりするんですけどね。他の部署がどういう状況になっているか、組織内での見極めも必要かもしれないです。

「なぜこの人はこんなことを言うのか」分析してみる

大室 処世術というところだと、私が産業医としてオススメしているのは、自分が言われて傷ついたということよりも、「なぜこの人はこういうことを言うんだろうか?」ということを考える。おそらく「お局さん」は会社のなかでベテランではあるけども、出世していない方のことを指すケースが多いと思うんです。

塩野 そうですね。執行役員だったら、執行役員って呼びますよね。

経営共創基盤・共同経営者の塩野誠さん(写真左)。ゴールドマン・サックス、ベンチャー起業、べイン、ライブドアなどを経て現職。大企業のコンサルティングや北欧・バルト地域でベンチャー投資を行い、フィンランド在住経験がある。著書に『20代のための「キャリア」と「仕事」入門』(講談社)『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)など。

大室 役職者じゃないけれども、属人的に「○○さんに聞いて」と言われるぐらい何でも知っている方がいらっしゃるじゃないですか。そういう方の存在価値は、「○○さんがいて助かったよ」と他者から言われることなんですね。自分の承認欲求が、周りの人によって変わる。だから情報に敏感なわけです。情報を握っていることは必要とされていることに似ているから。そういう人は、誰がどこで文句言っているかっていうことに非常に敏感なんですよ。

そういう立場だからイライラを私にぶつけているのかなと想像できる。人間というのは、考える脳を使うと感情の脳が一旦鎮まるようにできていて、「これは私に言っているというよりも、不安の表出なんだな」という風に考えれば自然と怒りや悲しみも収まるものなんです。

だからプライベートまで根掘り葉掘り聞いてくる上司も、家父長制度の名残で、お父さんのつもりでずけずけ聞いてくるのかな、ということも想像できる。ただ、処世術と申し上げましたが、そこに付き合うかどうかはまた別の話です。

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コロナ禍では「この職場、異常かも」がわかりにくい