――ずっしりと重く、本物の存在感がありますね。お2人に交換して着ていただきましたが、どちらもとてもお似合いです。
石津「鮮やかな色は意外に白髪に合うね。オレンジは年配こそ着てほしい色かもしれませんね」
安藤「VANのコートは長さもサイズ感もいい感じです。50年前といってもまったく古くささがないですね」
バブル期の古着 今が狙いどき
――オーバーサイズのトレンドは、以前にもありましたよね?
石津「80年代後半から90年代初頭だね。まさにバブル景気の時だ。コロナ下で、この年代の服をリサイクルに出していますという人は、ファッション界にも数多くいるよ。古着店でも商品点数が豊富なんじゃないか」
――続いて石津家のアーカイブであるダウンの登場です。茶色がいい色。アーカイブって時間を超えますね。
石津「VANのカジュアルライン、『シーン』のものなの。僕は今日これを洋服ダンスの一番端から引っ張りだしてきた。うちではしばらく着ていない服はどんどん端っこに追いやられるから、着ていないことがすぐ分かる。いかにも70年代っぽいデザインです。現代の代表的な機能性素材、ゴアテックスが生まれる前で、60年代に開発された機能性素材60/40クロス(ロクヨンクロス=綿とナイロンの混紡)が使われています。若い人が今、こういうのを着るとかっこいいよね」

安藤「グレーのフラノのパンツ、茶色のスエードの靴などを合わせてドレッシーに着てみたい」
――こちらはVANのものではないようですが70年代のダウンベストでデザインが面白いもの。安藤さんが持ってきたダウンベストはウールリッチのものです。
安藤「サイズはちょっと小さめですが、スエードの切り替えが気に入って、スエードの靴と合わせて着ています」


石津「昔、テニスやスキーやフットボールといったスポーツウエアやアウトドアウエアが街着として流行していった。テニスウエアのフィラが大はやりしたようにね。そうしてスポーツウエアがいわゆる男のカジュアルの基盤になっていったんです。コロナによってアウトドアブームになって、これまで以上にアウトドアウエアやスポーツウエアが脚光を浴びて、男の服の大半がスポーツ出身のものになっていますよね」

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