90年代の魅力 若者が発見

――ブームを背景に当時の本物をほしいという理由で、若者が古着を探しています。安さだけが理由ではないようです。

石津「ラルフ・ローレンがビッグシャツといってスタイルを提案していたのが90年代です。日本人もバブル時代にはぶかぶかのファッションを楽しんだ。ちょっと前まで若い人はエイティーズだったのに、今はナインティーズ。(K-POPアーティストの)BTSも大きめファッションですよね。音楽もファッションも90年代に引かれる人が増えているんだよね」

「若い人はすっかり大きめファッションになっています。音楽もファッションも90年代に引かれる人が増えているんだよね」

安藤「メルカリなどの力もあって、古着ブームがマスレベルになってきているなと感じています。普段はユニクロの彼らにはバブル期の服は新鮮で、個性的だと映るはず。僕がもうひとつ感じているのは、お母さん世代がメルカリとかヤフオクを使って古着をどんどん買うようになったことの影響です。キャンプ用の服とか数回しか着ないのに、新品を買うのはもったいないと考えてリユースをうまく活用している。その子供たちが大人になると、古着に対する抵抗感はもっと薄まるんじゃないかな」

――安藤さんは売らないのですか。

安藤「人に貸すことはありますけど、売ることはないですね。リユースで回していくというのが本来SDGs(持続可能な開発目標)的な消費行動なんでしょうけど、愛着があって捨てられない。これでも一応、これだ、というものを厳選して手に入れているつもりなんです」

石津家ビンテージのチェックのダッフルコート(右)はサイズ感も丈も最近のトレンドに合ったもの

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

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