
古着ライフを楽しむ連載の2回目におすすめするのは、ダウンやダッフルコートだ。ビンテージ品を今風に着こなしたいなら、最近のトレンドであるゆったりめのサイズ感のものを探せばいい。大きめサイズが流行した1990年代の品々ならば、おおむね間違いはないだろう。また、鮮やかなオレンジや大胆なチェックといった「冒険したい色柄」こそ、手ごろな値段の古着でトライしてみるのが賢い選択といえる。服飾評論家の石津祥介さん、外資系金融機関に勤める安藤健治さんがビンテージアウターを持ち寄って、着比べてみた。
古着で際立つ ヘビーデューティー
――最近ダッフルコートが人気ですよね。ビジネスカジュアルに合わせたいという人も増えていて、オンでもオフでも活用できる定番アウターとして注目されています。安藤さんが古着店で買ったというこちらのダッフルコートは、明るいオレンジがきれい。しかもゆったり目のサイズ感が今っぽい。
安藤「これは『ショット』というブランドのダッフルコートです。オーバーサイズがまだはやっていない7~8年前に渋谷の古着チェーンで3000円くらいで買いました。偶然出合った掘り出し物でしたが、オレンジは冬のクリスマスシーズンに着たいというイメージがなんとなくありました。ちなみに僕は35年ほど古着店に通っていますけど、5000円以上するものを買うことはめったにありません。実際、ビンテージのコートなどは3000円くらいがほとんどです」
石津「ショットというブランドは、アメリカのワークウエアを得意とするところです。パイロットが着るフライトジャケット『ボマージャケット』だとかライダースが有名だね。それにしても、オレンジのように冒険する色を、古着で安く手に入れるというのは賢いなあ」
――石津家のアーカイブで持ってきていただいたダッフルコートはチェック柄。サイズ感がゆったりしていて、今着たい気分です。
石津「VAN(ヴァンヂャケット)製で、70年代初頭に作られたものです。ダッフルコートではグローバーオールのようなメーカーが有名で、昔からある定番中の定番。英海軍の防寒着として着られてきたから厚手で頑丈です。現代のダッフルコートはより軽く、より薄手に、となっているから、ヘビーデューティーを感じられるのはやっぱり昔のものなのではないかな。見てごらん、50年前のコートだけどへたっていないでしょ。ところで、ダッフルコートに付いているボタン代わりの留め具、これをトグルというんだけど、海で着るものには木製のトグル、山で着るものには動物の角のトグルが付いているんだよ」
安藤「このチェックも大胆で、面白いですね」

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