日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)が「非公正な『No.1調査』への抗議状」を公開したのが2022年1月。同年5月17日にはNHK「クローズアップ現代」が「あの商品、本当にNo.1? 氾濫する”No.1広告”のカラクリ」と題し、根拠が不確かな調査でNo.1が作られる舞台裏を追跡して注意を促した。非公正な調査は論外として、では公正な調査とは何なのか、考察する。

オリコン調査では「楽天モバイル」が顧客満足度No.1、日本版顧客満足度指数「JCSI」ではワイモバイルが6年連続でNo.1
オリコン調査では「楽天モバイル」が顧客満足度No.1、日本版顧客満足度指数「JCSI」ではワイモバイルが6年連続でNo.1

 2022年1月27日、日経クロストレンドで、「不当な『人気No.1』にリサーチ協会が猛抗議 恣意的な調査にメス」と題した記事を公開した。これは、「非公正な『No.1調査』への抗議状」を同年1月18日に協会Webサイトで公開した日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)への取材を基に、非公正な調査の手口や、景品表示法違反に抵触したケースなどを取り上げたものだ。

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 それから約4カ月が経過した5月17日、NHKが「クローズアップ現代」で「氾濫する“No.1広告”のカラクリ」と題して、実態とはかけ離れた人気No.1の“つくり方”などを取材して放映し、視聴者に啓発を促した。NHKは引き続き、人気No.1をうたう広告に関する情報や体験談を募集しており、JMRAの抗議は事態の改善に向けて進もうとしている。

 非公正なNo.1調査の手口は、例えば調査依頼企業の商品よりも人気が高く出る競合商品を除外して人気No.1をうたったり、利用者でもない調査モニターに単にホームページの印象を尋ねてそれを顧客満足度にすり替えたり、という具合。まっとうな調査とはほど遠い手法でNo.1を名乗っているケースが、無視できない規模で広がっていた。その背後に、「No.1を取らせる」と営業を仕掛ける調査会社の存在があったことから、JMRAが警告を発していた。

 こうした不当な手口は論外として、では公正な調査とはどのようなものか?

オリコンの顧客満足度調査では楽天モバイルが圧勝

 「『楽天モバイル、実際どうなの?』と思ってる皆さん! 楽天モバイルはオリコン顧客満足度調査で、なんと携帯キャリアの総合ランキング1位になりました。大手携帯キャリアのトップです!」――。

 CMキャラクターの今田美桜さんがこんな説明をする動画が以前から放映されていたが、5月11日に楽天モバイルのYouTube公式チャンネルで改めて公開された(【Rakuten UN-LIMIT VI】満足度No.1篇 TVCM 最大25000円相当おトク!)。

 ちなみに、「ぶっちゃけ、0円でずっと使われても困る」と、三木谷浩史楽天グループ会長兼社長が「月額0円」の料金プラン廃止を発表したのは、その2日後、5月13日だった。

 楽天モバイルが顧客満足度No.1という結果を出しているのは、2021年オリコン顧客満足度調査の「携帯キャリア」部門。調査元のoricon ME(東京・港) が21年7月、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアについて、過去1年以内に新規契約・機種変更・乗り換えのいずれかを行って現在メインで利用しているユーザーを対象に満足度調査を実施した。

オリコン調査では、料金プランなど6項目で満足度が高かった「楽天モバイル」が総合1位に
オリコン調査では、料金プランなど6項目で満足度が高かった「楽天モバイル」が総合1位に
出所:2021年 オリコン顧客満⾜度調査「携帯キャリア」

 評価項目は、「加入手続き」「初期設定のしやすさ」「料金プラン」「端末のラインナップ」「コストパフォーマンス」「付帯サービス」「つながりやすさ」「サポートサービス」「保証サービス」の全9項目。楽天モバイルは、加入手続き以下の6項目でトップの評価を獲得。特に料金プランでは2位以下に大差をつけた。他者への推奨意向も加味した総合得点で68.5点を獲得し、ランキング1位になった。

 もっとも、月額0円プランが今後廃止になることで、料金を支持して満足度を押し上げた楽天モバイル利用者がこれをどう評価するか。次年度のランキングにも注目が集まることになる。

 一方で、携帯電話部門の顧客満足度1位をワイモバイルと公表している調査結果もある。

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