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オーストラリアを含むアジア・太平洋エリア緊張感が高まってきた(写真はイメージ)=PIXTA

オーストラリアを含むアジア・太平洋エリア緊張感が高まってきた(写真はイメージ)=PIXTA

「米国と英国、オーストラリアの3カ国が9月、安全保障の枠組み『AUKUS(オーカス)』を立ち上げたんだって」「中国を抑える狙いのようだけど、日本などアジアへの影響はどうなのかな」

オーカスを取り巻く情勢についてバーチャルキャラクター、日比学くんと名瀬加奈さんが高橋徹アジア総局長に聞きました。

日比くん「具体的にどんな枠組みなのですか」

3カ国はかねて軍事面で協力関係にありますが、新たに創設したオーカスでインド太平洋地域での連携を一段と強化する考えです。人工知能(AI)やサイバーセキュリティー、量子テクノロジーなど軍事分野で重要性が増す最先端技術で協力します。とりわけ目玉になるのは、米英から豪への原子力潜水艦技術の供与です。

まずは設計を協議し、豪国内で8隻を建造します。現在の原潜の保有国は米英とフランス、ロシア、中国、インドですが、核兵器を持たない国では豪が初めてとなりそうです。豪は次期潜水艦として仏からディーゼル艦を導入する契約でしたが、一方的に破棄し、米英の原潜に乗り換えました。寝耳に水だった仏は猛反発し、一時は米豪から大使を召還する騒ぎになりました。

名瀬さん「なぜそうまでして創設したのでしょう」

中国が覇権主義的な動きを強めているからです。南シナ海で埋め立てと軍事施設の建設、示威活動をエスカレートさせ、インド洋のスリランカやパキスタンでも港湾建設を進めています。こうした海域で中国が実効支配を強めて「航行の自由」を妨げれば、域内全体の経済や安全保障に重大な脅威となります。

豪にとって中国は最大の輸出先で、蜜月の間柄でした。ところが近年、中国からのスパイ行為や内政干渉が疑われる動きが相次いだほか、2020年4月に豪が新型コロナウイルスの発生源の調査を求めた際、中国は豪産品の輸入を制限する報復に出ました。両国関係は極度に悪化しています。中国艦船の活動は最近、南太平洋にも及び、海上輸送を妨害されるようなことがあれば豪には死活問題です。

比較的静かで、長期潜航できる原潜は、中国への「海中抑止力」になり得ます。中国の軍事台頭に危機感を抱き、インド太平洋で影響力を堅持したい米英が、豪の軍備増強を後押しする図式です。

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