ひらめきブックレビュー

リベラルアーツの価値 多様化の時代を生きる助けに 『視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話』

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新型コロナウイルス禍を機に、働き方や生活スタイルを見直した方も多いだろう。多様化の時代、仕事一辺倒の人もいれば、趣味を重視したい人もいる。どちらが正しいという話ではなく、異なる見方や考え方を受け入れ、理解し合うことが必要だ。その際、助けになるのが教養(リベラルアーツ)である。

自分にはまだない新たな「視点」の獲得を目指すのが、本書『視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話』だ。

2021年に配信されたポッドキャスト番組がもとになっている。著者は同番組のMCを務めたCOTEN代表取締役CEO(最高経営責任者)の深井龍之介氏と、サブMCで音声プロデューサーの野村高文氏。物理学、文化人類学、仏教学、歴史学、宗教学、教育学、脳科学の7分野について、それぞれの専門家を交えた座談形式だ。

■現代に必要な文化人類学の視点

「文化人類学」の章に登場するのは、九州大学大学院人間環境学研究院准教授の飯嶋秀治氏。異文化から自らの文化を眺める文化人類学の視点を持つことで、価値観が多様化した社会を受け入れる下地ができそうだ。

例えば、インドネシアのバリ島には古くから4つのカーストがあり、階層によって同じものでも値段が変わる。「一物一価」の常識を覆す話だが、実は、明治以前の日本でも、呉服屋で顧客が店主と交渉して値段を決めるといったことが行われていた。当たり前に受け入れている資本主義やお金の価値も、実は西洋化された考え方だと改めて気づく。

コミュニティーごとの視点や価値観の違いは、日本企業と欧米企業などの間にもある。日本では会議が「承諾の場」であるのに対し、欧米では「議論の場」とされることなどだ。こうした違いを知って受け入れることで、一緒に仕事を進めやすくなる。

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