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東証は2022年4月に歴史的な再編を予定している(写真はイメージ) =PIXTA

東証は2022年4月に歴史的な再編を予定している(写真はイメージ) =PIXTA

東京証券取引所が、企業が上場する市場の形を大きく変えると聞いたわ。具体的にはどう変わるのかな。誰もが知っている「東証1部」がなくなるらしいけど、なぜそんなことをするのかしら。

東証の市場再編について真瀬田清美さんと小田愛実さんが川崎健編集委員に聞いた。

真瀬田さん「何がどう変わるのですか」

現在、東証の中には市場第1部と第2部、ジャスダックのスタンダードとグロース、そしてマザーズという5つの市場があります。これを2022年4月にプライム、スタンダード、グロースという3つの市場に再編します。

プライムは事実上の最上位の市場です。グローバルな機関投資家の投資対象になるような規模と経営の質を備えた企業を集めます。スタンダードはこれに準じる企業が集まる市場になります。グロースはたとえ規模が小ぶりでも、これから高い成長が期待できる企業が集まる市場です。

小田さん「どんな基準で分けられるのですか」

各市場には企業が満たすべきハードルをもうけます。企業が発行する株のうち市場で自由に売買できる株の比率を示す「流通株式比率」や、流通株式の総額である「流通株式時価総額」などです。プライムには、流通株式比率35%以上、流通株式時価総額100億円以上を求めます。

基準を満たしていなくても東証1部はプライム、東証2部とジャスダックスタンダードはスタンダード、マザーズとジャスダックグロースはグロースに当面は移行できる「経過措置」が適用されます。大半の企業は当初はこの通りに移行すると予想されます。

真瀬田さん「なぜ市場を再編するのですか」

一つは市場の構成をシンプルでわかりやすくし、お金を株式市場に呼び込みやすくすることです。ともに中堅企業が中心の東証2部とジャスダックスタンダードが並列するなど、各市場の違いがわかりにくいとの声がありました。

もう一つは最上位市場のブランドを高めることです。東証1部は日本を代表する優良企業が集まる市場です。ただ近年は企業数が増えすぎて、必ずしも世界に誇れる市場といえなくなっています。上場企業数は8月末時点で2189社と1990年から20年余りで1千社近く増えました。

いったん東証1部に上場すると企業がそこに安住し、経営努力を怠ってしまう弊害も指摘されています。新たにつくるプライムは、上場をつづけるための基準を従来より厳しくし、企業価値を継続的に高める努力を企業から引き出すことをねらっています。

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