熟成させる木樽は試行錯誤の末、バーボンウイスキーの熟成に用いられるアメリカンホワイトオークという種類にたどり着いた。麦焼酎は1回の蒸留だが、原酒についてはより雑味を減らすため2回とした。原則として8年間貯蔵し、最後にブレンダーが各樽(たる)ごとの個性を把握した上で調合して完成する。

朝倉は全国の酒店のほかネット通販などでも販売する(福岡県朝倉市の篠崎 蔵元店 千の蔵)

酒税法上、熟成でもたらされた琥珀(こはく)色の状態では焼酎として販売できないため、リキュールとしての販売となった。ろ過すれば色味はなくなるが、風味も薄れてしまうためだ。シェリー酒やブランデーの熟成に用いた樽や国産の桜の木から作った樽で追加熟成した製品も加え、様々な味が楽しめるようにしている。

発売後は地元のみならず全国からも注文があり、売れ行きは好調だ。2021年には高峰博士が苦杯をなめた米国向けに味を再調整した姉妹商品「TAKAMINE」を発売。世界的な日本産ウイスキー人気も追い風に順調な滑り出しだ。

20年12月には福岡市内や首都圏のバーと組み、朝倉をベースにした各店オリジナルのカクテルを瓶に詰めた「ボトルドカクテル」を商品化した。2度のクラウドファンディングで資金を調達し、いずれも出資者に商品を届けた。「次は海外のバーテンダーとのコラボを考えている」(篠崎部長)。日本発の新たなスピリッツが秘める可能性はその香りと同様、時間と共にますます広がりそうだ。

(西部支社 山田和馬)

[日本経済新聞電子版 2022年1月27日付]