多品種ゆえのお手ごろ価格

「お客様目線」にこだわると、価格も高くは設定できない。シャトレーゼを利用したことがある人はご存じかもしれないが、安い理由は「工場直売」というスタイルにある。問屋や小売店を通さないため、卸値に近い価格で販売することが可能なのだ。工場直売を始めた当初は、アイスを卸値と同じ34%引きで売っていたという。

とはいえ、糖質オフ製品や、卵・牛乳・小麦粉不使用のアレルギー対応ケーキなど、開発や製造に手間がかかるものは、コストがかさむ。それなのに、なぜシャトレーゼではそうした商品も手ごろな値段で提供できるのだろうか。

秘密は同社の豊富な品ぞろえにある。自社製品は、おはぎや煎餅などの和菓子も含め400種類にも及ぶ。ほかの部門できちんと利益を出しているから、糖質オフやアレルギー対応のケーキといった一部の製品は「お客様への還元」として赤字前提で取り組めるのだという。

「儲(もう)かる」という漢字は分解すると「信者」になる。そんな熱烈なファンが増えてくれれば、自然ともうかるようになると齊藤氏は悠々と構える。本書は、商売の本質とは何かを教えてくれるとともに、仕事との向き合い方を考えるきっかけを与えてくれる一冊だ。

今週の評者 = 川上瞳
情報工場エディター。大手コンサルティングファームの人事担当を経て、書評ライターとして活動中。臨床心理士、公認心理師でもある。カリフォルニア州立大学卒。

シャトレーゼは、なぜ「おいしくて安い」のか

著者 : 齊藤 寛
出版 : CCCメディアハウス
価格 : 1,540 円(税込み)