床の冷たさも悩ましいところだ。床裏で外気に接しているうえ、コールドドラフト現象で冷気が下降してくる。床の冷え対策としては保温・断熱シートを敷き込む方法がある。主に発泡ポリエチレンやアルミでできたシートが売られていて、広さ3畳分が2000円前後で手に入る。
床のカーペットやラグの下にシートを敷いておけば、空気の層ができて保温・断熱効果が期待できる。
床や畳にじかに布団を敷いて寝るなら、布団の下にシートを敷いてもよい。ただし冬には結露しやすいため、布団をこまめに動かして湿気をとばすようにしたい。
そもそも前提として、布団やベッドを窓から離しておくのも大切だ。夜になれば窓の近くは一層冷えるため、体調を崩しかねない。

冷気を防ぐためのカーテンや保温・断熱シートは居室以外に、トイレや洗面所といった冷えを感じやすいところでも活用できる。それぞれの場所に合わせて適切なサイズに切って設置しよう。
住まいの温度や湿度を把握しておくと、冷え対策もスムーズにできる。室内の各所に温湿度計を置いてみよう。室温は18~22度、湿度は40~60%を目安に暖房器具の設定などを調整する。
冬の冷え対策を紹介してきたが、新型コロナウイルス感染対策もあって最低限の換気が欠かせない。最近の家屋は気密性が高いタイプも多いので、注意しながら備えよう。
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暖房の違い 部屋全体か局所か

暖房器具には大きく分けてエアコンや石油ファンヒーターのように部屋全体を暖めるもの、こたつや電気ストーブといった体を直接、局所的に温めるものがある。その日の天候や部屋の日当たりや広さ、室内にいる人数などを考えながら使い分けることになる。
人間の体は気温や湿度、放射温度(物から発せられる熱)、気流速度(風の流れ)、自分自身の代謝量(活動に伴う熱量)や着衣などによって、冷えの感じ方が変わってくる。暖房の設定温度もこれが最適と決めつけず、状況に応じて調整していきたい。
(住生活ジャーナリスト 藤原 千秋)
[NIKKEI プラス1 2022年11月26日付]