日本膵臓学会では慢性膵炎臨床診断基準の2009年改訂時に「早期慢性膵炎」という概念を取り入れている。「この段階で治療や生活習慣の見直しをしておけば、膵臓の状態を改善できるかもしれない」と下瀬川企業長。

ただ慢性膵炎は早い段階では原因がよくわからず、発見しにくい場合が多い。脂ものを食べるともたれる、みぞおちが痛む、背中の不快感といった症状がみられても、胃の不調である「機能性ディスペプシア」や「過敏性腸症候群」などと診断される例がある。お酒をよく飲む習慣があり、こうした症状が続く人は膵臓の専門医のいる消化器科に相談するようにしたい。

専門医に受診すると、膵臓の状態を血液検査や腹部超音波検査(腹部エコー)で調べることになる。膵炎の疑いがあれば、より詳しく胃の内部から超音波を使って状態を調べる(超音波内視鏡検査)。早期慢性膵炎の段階でも診断できるという。

慢性膵炎とわかったら、まず飲酒や喫煙を控えたい。伊藤センター長は「酒量は主治医に従ってほしい。膵液の分泌状態を調べる検査をし、1日の脂質の摂取量など制限することもある」と説明する。悪化を防ぐため、休肝日ならぬ「休膵日」を提唱。便秘に気をつける、よくかんで食事をする、ストレスをためない、といった点を注意する。

下瀬川企業長は「慢性膵炎の早期発見は膵臓がんの予防にもなる」と訴える。日常生活から意識したい。

(ライター 荒川 直樹)

[NIKKEI プラス1 2021年12月25日付]