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建築家 隈研吾氏

建築家 隈研吾氏

隈研吾建築都市設計事務所の所員の出身地は、およそ20カ国に広がっている。国内外から優れた人材を採用しようと、隈さんは月に2度の頻度で「入社試験」を自ら行う。クリエーティブな組織であり続けるため、仕事のやり方もつねに修正・改善を繰り返す。事務所や教べんをとった大学の研究室からは、建築のジャンルを超えて活躍する才能も輩出した。

――月2回の入社試験とは驚異的です。

「事務所のホームページで新規スタッフやインターンを年中、募集しています。送られてくるポートフォリオ(図面などをまとめた自作の作品集)はかなりの数になるので、ある程度の選考をして人数をしぼります。候補者が5〜6人そろった段階で、オンラインで試験をします」

「試験は午前10時に開始。シェアハウスの設計といった課題を与え、12時間後にプレゼンをしてもらう。図面でも模型でも何でもいいので、それを使って言葉で説明させる。表現方法が多少拙くても、自分の頭で考えたかどうかは、すぐに分かりますよ」

「試験を始めたのは20年ほど前です。それまではポートフォリオで選考していました。ところが、ポートフォリオをそれなりの質にブラッシュアップしてくれる有料サービスが現れて、これで自分の作品集を仕上げてくる学生が出てきた。これでは本当の実力が分かりません。米国でも問題化しているようで、ハーバード大学で建築を教える教授も頭を抱えていました」

――事務所には主要国のほか北マケドニア(旧マケドニア)、カザフスタンなどからの出身者もいるそうですね。

「組織に外国人がたくさんいることは大切。多様性は常に意識しています。同じような人だけの単一な組織内で競い合うのは息が詰まるだけですが、そもそも次元の違う人の集まりであれば、競争のプレッシャーもないですよね。入社試験では、少しだけ『バイアス』をかけます。遠い小国の出身者だったりすると、『こんな国からも応募してくれたんだ』と、多少点数が足りなくても、入ってもらうこともあります」

「新型コロナを契機に国内でサテライトオフィスをつくるなど、働き方の多極化、分散化を進めています。それに触発された外国人スタッフから、自国に戻って隈事務所のサテライト拠点のようなものを立ち上げたいという声もあがっています」

「海外ではひとつの会社にとどまることは珍しく、設計事務所を転々と渡り歩くのも普通です。外国人スタッフの願望にどう応えられるか。面談しながら解を探っているところです。日本の常識に合わせて働いてもらうことにとらわれていては、優秀な人材はつなぎとめられません」

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