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日本発スキンケア「SK-II」 年間世界売上高10億ドル

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2022.10.5

世界で販売されるSK-II製品は、すべて滋賀工場で作られている(P&G滋賀工場、滋賀県野洲市)

SK-II(エスケーツー)はP&Gが世界12の国・地域に出荷するスキンケア化粧品だ。1980年の発売から、長年コマーシャルに出演した俳優の桃井かおりさんをはじめとする著名人にも愛用者を広げ、高級化粧品の代表格の地位を築いている。海外に出荷するものも含め、SK-IIの全製品は日本の滋賀工場のみで作られている。滋賀工場では近年、水の循環利用を本格化している。よりサステナブルなブランドへと取り組みが進んでいる。




杜氏が使う酵母に着目

SK-IIは化粧品を手掛ける米マックスファクターの日本法人から誕生したブランドだ。日本酒を造る高齢の杜氏(とうじ)の手がつややかで若々しいことに着目し、それが酵母の効果だと確認した。この酵母が発酵する過程で発生する成分を「ピテラ」と名付け、これを使った化粧品ブランドとしてSK-IIを立ち上げた。SKはシークレット・キー、秘密の鍵を意味する。

91年にP&Gがマックスファクターを買収したことで、ブランドと滋賀工場はP&Gの傘下に入った。2012年にはアジア発祥ブランドとしてP&Gで初めて、年間売り上げが10億ドル規模のブランドになった。

アジアでの需要拡大などを受け、滋賀工場では生産能力を従来比2倍に引き上げることを目指して増築が始まり、19年に新設備が稼働した。新しく稼働した工場のラインでは、ブランドを代表する化粧水「フェイシャルトリートメントエッセンス」などを最新の自動化設備で充填・梱包し、世界に送り出す。

増築と同時に、工場で使用する水の循環設備を整備した。滋賀工場では19年から工場排水を飲用に適する基準まで浄化する設備を動かしている。足元の水の再利用率は11%ほどだが、全量を再利用し外部への排水をゼロにする目標のもとで再利用の割合を増やす。駐車場の屋根などに太陽光発電パネルを設置しており、工場で使う電気はすべて再生可能エネルギーでまかなっている。