いいちこの三和酒類が清酒づくり ワイン感覚の味わい

2021/12/5
こうじはタンクに移し、およそ1カ月間発酵させて搾る(4日、「ヒノヒカリ」で造る「本醸造 和香牡丹」の仕込み状況を確認する佐藤氏、大分県宇佐市)

大分県北部の穀倉地帯では酒造りが盛んだ。1958年設立の三和酒類(宇佐市)は本格麦焼酎「いいちこ」(79年発売)で知られるが、祖業は日本酒。共同瓶詰め場としてのスタート当初から「和香牡丹(わかぼたん)」ブランドの清酒を売ってきた。近年は地元でとれる食用米(飯米)でワイン感覚の酒も醸し、品評会で高評価を得ている。

JR日豊本線柳ケ浦駅から車で約20分。三和酒類本社工場は草創期に手がけたミカン農園の跡地に立つ。町はずれの山あい。適度にミネラル成分を含む軟水を地下300メートルからくみ上げ、焼酎や清酒を造る。いいちこ関連設備に交じり、清酒の「虚空乃蔵」もある。

蔵人たちは分け隔てなく意見を出し合い、「丹念に一念に」酒を醸す。2013年に蔵をリニューアルした際に「地元産のコメで世界に羽ばたく」というコンセプトを加えた。原料には酒造好適米の「山田錦」なども使うが、宇佐産の食用米「ヒノヒカリ」に特にこだわっている。

コメに菌をつけ、日本酒のもとになるこうじをつくる工程(4日、「和香牡丹 純米吟醸 山田錦50」の作業の様子)

もっとも、食用米を酒にする場合は酒造好適米より雑味が出やすいなどの課題がある。虚空乃蔵の佐藤貴裕氏は全国の蔵元を訪ねたり酒類総合研究所(広島県東広島市)の研修に参加したりするなかで4年ほど前に解決法を教わり、実践した。

一つが洗米だ。機械で洗う量を1回10キロと従来の3分の1に減らし、シャワーを使うすすぎ工程も追加。コメぬかを丁寧に洗い流すことで品質がグンと向上した。もう一つがこうじ。手造りする際の容器を木製からプラスチック製に切り替えた。コメの1粒ずつに菌がきちんと生え、甘み豊かなこうじを確実に造れるようになった。