技術の前にいい人間を

――人材の育成で心がけていることはありますか。

「ユーハイムは菓子職人を自前で育てています。専門学校を出たかどうかはあまり関係ありません。いい職人がいい世の中をつくる、という言葉があります。誰かのためにお菓子作りをできるのか。誰かのために仕事をできるのか。技術よりも前に、いい人間を育てていきたいと考えています。一方で、自分の心が震えるようなものを何か見つけてほしいと思っています」

――菓子業界の将来は明るいですか。

「この業界の将来は明るいと思っています。日本の食文化はバリエーションが豊かで、洋菓子もどんどんおいしくなっています。しかし、課題はあります。お菓子作りの世界では職人がなかなか一緒になることはなく、レシピを公開することもあまりありません。ここ最近、考えるようになったのはレシピにも著作権を導入できないかということです。レシピを公開すれば、もっとおいしいお菓子ができるのではないでしょうか」

「世界中の職人がつながれば、お菓子で世界を平和にできるかもしれません。新型コロナ禍では、あちこちに分断が生まれました。人間は集団で進歩していく生き物だと考えています。お菓子屋もどうしたらひとつになれるのか。テクノロジーの力で、今の苦境を乗り越えていくことができると確信しています。テオもその力になれればと願っています」

(小嶋誠治)

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読書でリラックス

本社がある神戸市と支社がある東京都、主力工場を構える愛知県など移動時間が長いことから、つとめて読書をするようにしているという。多忙な日々を送るからこそ、河本社長は「精神的なリラックスになるし、現実逃避にもなる。普段なかなか体験できないことを本を通じて体験できればと」。

神戸にいるときは朝、ランニングを心がけてもいる。住吉川はお気に入りの場所で、通っていた小学校の近くを走るときには自然と校歌が頭に浮かぶという。

かわもと・ひでお 1969年神戸市出身。明治大商卒。大手食品会社を経て、慶応義塾大大学院修了後、99年にユーハイム入社。2015年社長に就任。創業者の妻で初代エリーゼ・ユーハイム、事業を引き継いだ祖父・春男、父・武に次ぐ4代目。
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この世の中や会社などに対してビッグクエスチョンを見いだせれば、自分の中でビッグアンサーは見つかり、その先に自らの進むべき道が見えてくるのではないでしょうか。

[日本経済新聞夕刊 2022年2月24日付]

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