日経MJ

今後は「京都過ぎないブランディング」に

よーじやの商品展開は幅広く、化粧筆やフェイスパウダーなどの化粧品を含めると200アイテムに近い。しかし、あぶらとり紙やハンドクリームなど上位3品で全体売り上げの4割以上を占めるという。今後は不採算の商品では撤退も検討し、150アイテムほどまで減らす。

店舗や商品に加えて全社的に取り組むのは「京都過ぎないブランディング」だ。これまでよーじやは創業地の京都の伝統を重んじる雰囲気があり、店員の対応や商品のパッケージも変えづらかったという。

ゆずのハンドクリームやはなほのかでは、現在の女性のロゴマークになってから初めてアレンジが加えられた。黒髪の女性の頭にゆずをあしらった帽子がかぶせられたり、花をイメージしたピンクの髪飾りが描かれた。これまで社内でもロゴの変更には抵抗感もあったというが、少しずつ受け入れられた。

店員の髪色もこれまで京都を意識した黒髪の規定だったが、茶色でも許されるようになった。よーじやブランドで展開しているカフェでは抹茶商品だけでなくハンバーグなど洋食も販売し始めた。

国枝社長は「観光客をターゲットにしないのではなく、地元客も観光客も二兎追う戦略が必要だ」と話す。長引くコロナ禍でインバウンドの回復が見通せないなか、よーじやは創業の地、京都ともう一度向き合うことで立て直しを急いでいる。(泉洸希)

1904年の創業当初は舞台化粧道具の行商として地元客に親しまれてきた。映画関係者から相談を受けて1920年ごろに開発したあぶらとり紙が大ヒット。その後、基礎化粧品や化粧道具などオリジナル商品を販売し、国内外にブランド名が知られるようになった。

[日経MJ 2022年3月25日付]