オンライン接客 vs リアル接客 第3回

LINEは2022年夏をめどに、ライブコマースサービス「LIVEBUY(ライブバイ)」の本格提供を開始する。本格提供後は、LINEの公式アカウントを開設し物販に取り組むすべての企業が利用対象となる。現在複数社と検証を行っているが、早くも1回の配信で実店舗の1日の売り上げに相当する事例も出ているという。国内ユーザー9200万人(22年3月末時点)という、圧倒的な利用者数を武器にLINEが仕掛けるライブコマースとは。

LINEは今夏をめどに、ライブコマースサービスの本格提供を開始する
LINEは今夏をめどに、ライブコマースサービスの本格提供を開始する

 LINEが2021年11月にテストローンチした、ライブコマースの新サービス「LIVEBUY(ライブバイ)」。早ければ22年夏にも同サービスの本格提供を予定していることが、日経クロストレンドの取材で明らかになった。

 ライブ動画を配信し商品を紹介・販売するライブコマースは、オンライン接客の手法の1つ。ただ、日本ではまだライブコマース自体消費者に浸透しているとは言い難く、撤退するサービスも少なくない。そんな中、LINEがLIVEBUYの本格提供に向け動いている。国内9200万人という巨大なユーザー基盤により、後発サービスながらいきなりトッププレーヤーに躍り出る可能性もある。

初音ミクも登場。コラボグッズを販売

 LIVEBUYの最大の特長は、ライブコマース開始前の告知から、ライブ中の配信(視聴)、決済、そしてライブ終了後のCRM(顧客関係管理)まで、ユーザーも企業もすべてLINEで完結するところにある。国内でもSNS連携(集客)、配信、アクセス解析などワンストップでライブコマースを提供できるサービスは増えているが、事業者にとって強力なCRMツールとなりえるLINE公式アカウントとライブコマースをセットで提供できるのは、LINE発のサービスならではの強みと言える。

 企業がLIVEBUYを利用するには、LINE公式アカウントの開設が必要になる。LINE公式アカウントと連動する専用管理ツールを利用して、商品登録やライブ配信を行うからだ。費用については現在検討中だというが、「中小企業でも導入しやすい価格帯にしていきたい」と、LIVEBUYプロジェクトを主導するLIVEコマース企画チームの宮澤麗マネージャーは話す。

LIVEBUYのイメージ動画

 21年11月のテストローンチ以降、門崎(岩手県一関市)が運営する肉の専門店「熟成肉の格之進」や、ナチュラルコスメブランド「LUSH」を展開するラッシュジャパン(神奈川県愛川町)などが参画し検証を続けてきた。中には1時間程度のライブ配信で、実店舗の1日分に相当する売り上げにつながった例もあるという。

 配信を行うのは、リアルの人間だけではない。22年5月1日には、バーチャル空間「MIKULAND」から、バーチャル・シンガーの初音ミクのライブコマース「初音ミクのLIVEコマース in MIKULAND」が行われた。出演したのは、初音ミクに加え、“初音ミクファン”を公言する進行役の2人、人気バーチャルアイドルの「ときのそら」と「東雲めぐ」だ。

 商品販売と初音ミクによるライブ、あわせて1時間の配信中に紹介されたのは、初音ミクコラボのノートパソコンやディスプレー、配信中に完売したキーホルダーなど、1300円~6万9800円(税込み)の商品計9点。ライブコマースは常時、参加者からのコメントが絶えない盛況ぶりだった。

「初音ミクのLIVEコマース in MIKULAND」で販売された商品計9点。ライブコマースの終盤、「ライブ配信終了後も、5/14まで購入可能」とアナウンスされた
「初音ミクのLIVEコマース in MIKULAND」で販売された商品計9点。ライブコマースの終盤、「ライブ配信終了後も、5/14まで購入可能」とアナウンスされた

LIVEBUYの“にぎやかし”施策

 ライブコマースの強みの1つに、演者と視聴者が双方向でコミュニケーションを取れる点がある。LINEもそうしたインタラクティブ性の高いサービスを目指し、“にぎやかし”につながるさまざまな仕掛けを用意している。

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