生命保険各社がオウンドメディアの開設、強化に動いている。新型コロナウイルス感染拡大で対面型の営業がしづらくなり、保険加入検討層へのアプローチとして、情報コンテンツの発信に注力するようになった。中でも、2021年12月にスタートした第一生命保険の「ミラシル」が健闘している。Google アナリティクス 4への移行もこの動きを後押ししそうだ。

生命保険各社がオウンドメディア強化へ
生命保険各社がオウンドメディア強化へ

 「保険のSEO(検索エンジン最適化)といえば、ライフネット生命保険が頭一つ抜けている」――。生命保険業界のデジタルマーケティングに携わるマーケターの間では長らくそう語られてきた。「生命保険」で検索すると、自然検索トップは同社。その上に位置する検索連動型広告と合わせて検索上位のポジションをきっちり押さえ、新規契約を獲得する態勢を整えている。

 だが、SEOに比重が置かれてきた生保のマーケティングに、ここにきて変化が見られる。

 2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、業界では非対面の営業スタイルが進み、ダイレクト系生保のみならず、これまでオフライン施策が主体だった歴史ある大手保険会社もWebマーケティングに乗り出すようになった。22年上半期の生保各社Webサイトのアクセス数は、コロナ禍初期の20年上半期と比べると34%増と大きく伸びている。

主要な生命保険会社40社のサイトの合計アクセス数(セッション数)の推移
データ提供:ヴァリューズ
データ提供:ヴァリューズ

 保険会社としては、保険の必要性を感じて加入する意思を持つものの、「医療保険と生命保険のどちらに入るべきか?」など具体的な保険商品を決めかねている「ミドルファネル」の段階にいるユーザーを、他社に奪われる前に自社に取り込みたい。コロナ禍で対面型の営業スタイルが退潮してデジタル化が進む中、Webマーケティングでアプローチしたいのはこの層である。

 特定の保険会社や保険商品を決める前に、自分に合う保険や保障される内容を知りたいと考える加入予備軍にとって、必要とされるのが保険相談。そこで各社とも相談コーナーを拡充してきた。ミドルファネル層に訪問してもらって相談を受けることで、保険会社は回答しつつ、商品訴求を有利に展開できるという考えからだ。

 しかしながら実際のところ、保険会社が保険相談からコンバージョンを得るのは容易ではない。保険についてネットで相談したい場合、まずは「保険 相談」といったキーワードで検索するだろう。検索ユーザーはその検索結果からどのサイトへ飛んでいるか?

NIKKEI STYLE

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