日経プラスワン

それでも自分ではなかなか判断できない場合、第三者の力を借りよう。手っ取り早いのはプロのスタイリストに服を見てもらう方法だ。最近ではウェブサイトやスマートフォンアプリから依頼できるサービスがある。どんな着こなしをしたいのかイメージを伝え、自宅のクローゼットを確認してもらう。

価格はサービス内容にもよるが、1時間当たり数千円からある。プロに組み合わせを考えてもらえば、服を選ぶ手間から少しは解放されるだろう。買い足す場合にも助言を基にすれば、無駄な買い物を減らせるはずだ。

「同じような服ばかり買っているね」といった指摘をする家族がいたら、いっそのこと巻き込んで服の整理に協力してもらおう。普段なかなか聞けない家族の服装の好みや考え方を知るきっかけにもなる。自分と似た境遇の友人や同僚を招いて見てもらうのもよい。自分があまり使わないけれど、友人や同僚は気に入る服があるかもしれない。その場で譲れば、罪悪感もそれほどなく、手放せる。

服を整理するときはその状態も併せて点検しよう。汚れが落ちずに残っている、胸元や袖が伸びている、肘や尻の部分がテカっている。こうした品質面での劣化は手放すタイミングを示すサインだ。普通に暮らしていると見逃しやすいので、明るい場所で改めて確認してみる。

使い始めてから2年が経過した下着、ペアが見つからない靴下などもまとめて取り換えたい。捨てるのは気が引けるなら、ハサミで切って雑巾などに使う手もある。

これまで費やしてきたお金や労力が惜しくて、同じことを続けてしまう心理を「サンクコスト効果」と呼ぶ。苦労して手に入れたブランド品や親から受け継いだ着物を手放せない背景にもこうした心理が働いている。

高価な服はついしまい込んでしまうが、気づけばトレンドや体形の変化で着られなくなるかもしれない。しまっておくにも場所のコストがかかり、年月とともに経年劣化する。できるだけ着て服の稼働率を上げる方がよい。体形に合わなくなれば直し、着る機会がなければ潔く売って費やしたお金の一部を回収する。

クローゼットが整理できれば、出かける前の準備も服の購入も効率よくできる。季節の変わり目に考えてみよう。

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スマホで撮影 手持ち確認

服選びの時間を短くするため、手持ちの服でのコーディネートを撮影して見比べられるようにするとよい。「自分に似合う・似合わない」「着たい・着たくない」を客観的に判断できる。新しく服を買いにいくときにも手持ちのラインアップを確認できて便利だ。

白い壁を背景にして、首から下を撮影する。家族に頼んでも、スマートフォンをスタンドに立ててセルフタイマーで撮ってもよい。靴やカバンも一緒に撮影しよう。まとまった時間がとれなければ、毎日通勤前に1枚撮影するのを習慣にしてみよう。

(整理収納アドバイザー 米田 まりな)

[NIKKEI プラス1 2022年10月22日付]