共感しあえた仲間を要所に チーム作りが経営者の仕事ビジョナル 南壮一郎社長(下)

ビジョナル社長 南壮一郎氏

人材サービスのビジョナルは2009年にビズリーチとして創業して以来、社長の南壮一郎さん(45)のチームマネジメントにより成長と多角化を遂げた。「共感」を手掛かりに招き入れた優秀な仲間たちに要所の差配を任せる。そんな役割分担の流儀を貫けるのも、自分という人間を深く理解するがゆえだ。有言実行で退路を断ち、ポジティブシンキングで新しい課題解決のテーマを探し続ける。

――起業しよう、という考えは早くからありましたか。

「ありません。理由は簡単です。一つのことをやり続ける気がないから。僕は新しいことを色々やりたいんです」

「仕事は20代が修行、30代は練習試合、40代以降が公式戦という観念がありました。公式戦では『好きな時に好きな人と好きなことがやりたい』と思っていて。組織に属さず、フリーのプロデューサーみたいに様々なプロジェクトを手掛けたかった。でも、起業すると一つの仕事に集中せざるをえなくなる」

――それでもビズリーチを起業しましたね。

「僕が思い描くような仕事をする時、一度は起業しておいたほうが採用する側に信用されやすいんじゃないか、と考えたんです。そこで、僕に足りないIT(情報技術)の知識を深められる事業を一度興そう、と考えました」

「だからリスクヘッジはしましたよ。ウチの創業メンバーはほぼ全員、副業でビズリーチを始めたんです。僕を含めた当時の7人のメンバーが、チームとして行動し、会社をつくりあげました」

――エンジニアの竹内真さん(現ビジョナル取締役最高技術責任者)やマーケティング担当の永田信さん(現ビジョナル社長室)たちですね。

「1年以内に1億円調達できなかったらやめよう、なんて話していたけれど、結局2億円を調達できました。創業に力を貸してほしい、とお願いした仲間が今もグループを支えてくれているのも、こんな会社をつくる、という約束を僕が守れたからでしょう」

――創業後も様々な人材を招き入れましたね。

「僕のリーダーとしてのキーワードは、仕事を任せられる『仲間づくり』です。元来は苦手なんですけどね。仲間づくりで大事なのは、相手に自分を理解してもらうより、まず相手を理解して信頼することです。だから相手がどんな人物か徹底して観察する。そして熱意を持って自分の思いと考えを伝えることです」

「仲間づくりの根っこにあるのは共感です。価値観とか、こういう仕事をしたいという願いに共感しあえるかどうか。ここで重要なのは、ほとんどの人が共感しあえないという現実。だからリーダーは、自分の願いを言語化して、きちんと相手に発信できなければいけない」

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