時代・地域・人物 切り口が多様に

フランス革命期を舞台にした「ベルサイユのばら」、中国の後漢末期からの群雄割拠の時代を描く「三国志」――。マンガがきっかけになって歴史に興味を持つようになった人は多いのではないか。歴史上の出来事を踏まえつつ、創作や改変を織り交ぜながら描く物語は今も昔も多くの読者をひきつけてきた。

海外だけでなく、戦国時代や幕末の日本を舞台にした作品も多く、もはや定番といえるジャンルだ。さらに近年はこれまであまり取り上げられず、なじみの薄い地域や時代、人物に焦点を当てる例が目立ってきた。最新の研究成果を盛り込んで新味を出したり、権力闘争や戦いだけでなく、当時の文化や生活ぶりに注目したり、と切り口が多様化。綿密な取材や歴史学者による時代考証を基に作り込んでいるのも特徴だ。

今回は2000年以降に連載が始まった比較的新しい作品に候補を絞ってみた。歴史の勉強となると敬遠しがちだった人も、楽しみながらもっと知りたいと思える1冊がみつかるかもしれない。

ランキングの見方 数字は専門家の評価を点数化。①作者名(監修、原案など含む。敬称略)②出版社名③刊行数④最新巻の税込み価格⑤舞台とされる主な地域・時代。写真は鈴木健撮影。

調査の方法 歴史上の人物や時代背景をある程度取り入れながら物語を展開しているマンガから、歴史学者の大貫俊夫さんと田中良英さん、マンガに詳しい田中香織さん、山内康裕さん、吉村和真さんらの助言を基に、2000年以降連載が始まった比較的新しい29作品を候補に選定。書店員や研究者など14人に「歴史への興味を呼び起こす」「ストーリーやキャラクターが魅力的」「過去作にない意外性・新規性がある」といった観点でおすすめ順に1~10位を挙げてもらい、結果を編集部で集計した。

今週の専門家 ▽大貫俊夫(東京都立大学人文社会学部准教授)▽黒松亜美(八重洲ブックセンター)▽渋谷孝(ブックファースト新宿店)▽書店員すず木(ブックライブ)▽田中香織(スピカワークス)▽田中良英(宮城教育大学教育学部教授)▽西室浩之(オリオン書房ノルテ店)▽日吉雄(漫画全巻ドットコム)▽藤村結香(宮脇書店本店)▽松岡賢治(丸善お茶の水店)▽美土路奈々(銀座蔦屋書店)▽山内歩(文禄堂荻窪店)▽山内康裕(マンガナイトBOOKS)▽吉村和真(京都精華大学マンガ学部教授)=敬称略、五十音順

(荒木玲)

[NIKKEIプラス1 2021年9月25日付]

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