「非日常」で創造性UP ワーケーションの可能性とは『ワーケーションの教科書』

リモートワークの広がりとともに、耳にするようになったのが「ワーケーション」だ。ワーケーションとは仕事(Work)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語。普段の職場や住まいから離れた場所で、仕事やレジャーを行うことを指す。政府も推進のために力を入れ始めたワークスタイルだが、一般的な感覚ではまだまだ浸透しているとは言い難い。

そもそもワーケーションがなぜ必要なのか。本当に成果が上がるのか。様々な疑問に答え、その全体像を教えてくれるのが本書『ワーケーションの教科書』だ。ワーケーションの特性や意義、効果的なやり方などを働き方の変遷を踏まえて解説。さらに個人、企業、そして受け皿となる地方目線で、導入方法を多角的に示している。

著者の長田英知氏はAirbnd Japan株式会社執行役員。シェアリングエコノミーや働き方についての多くの著書がある。

創造性を引き出す仕掛け

まず、ワーケーションには3つの特性がある。①「非日常の場所」であること、②「勤務時間中」であること、③社員が「自発的に選択している」ことだ。在宅でのリモートワークは①にそぐわないし、社員旅行や海外出張も③の特性とは外れる。自ら過ごしたいと思った「休暇を過ごす場所」で、仕事と余暇とがミックスした状態になるのが、ワーケーションだ。

この“ミックス感”が、ワーケーションの鍵のようだ。リモートワークが進むと、自宅や限定された場所から動かなくなり、新しい体験を得にくい。だが、発想力や創造性を育むためには移動距離を広げて、刺激を受けることが大切だ。ワーケーションであれば、利便性、仕事の効率性を保ちつつ、休暇を通して体験の幅を広げられる。結果的に、それがセレンディピティ(偶然のひらめき)につながる。著者の言い方を借りれば、ワーケーションとは休暇と仕事をあえて混在させ、クリエイティビティを引き出す「仕掛け」なのだ。

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