2022年秋、愛・地球博記念公園(愛知県)に「ジブリパーク」がオープンする。スタジオジブリの映画の登場人物や生き物と触れ合えるかと思いきや、そうした着ぐるみのキャラクターなどはパーク内に一切登場しないという。その他にも、過去の公園施設のリノベーションや来場者を密にしない日時指定予約など、数多くの新たな試みを採用する見込み。ニューノーマル時代における新しいテーマパークの姿が見えてきそうだ。

 うっそうとした森を散歩するとまるでトトロがいるような気配を感じる。さらに歩みを進めると、開けた草原の先にハウルの城が見えてきた――。そんなスタジオジブリの映画作品の世界に入り込んだかのようなテーマパークが愛知県に登場する。

 愛知県長久手市にある愛・地球博記念公園で建設が進む「ジブリパーク」は、5つのエリアで構成されるテーマパークだ。第1期に当たる22年秋の開業時にオープンするのはそのうちの3つ。まず、公園北にある東部丘陵線(リニモ)の愛・地球博記念公園駅近くにできるのは、映画『耳をすませば』や『猫の恩返し』の世界をイメージした「青春の丘エリア」。公園南側の森には、『となりのトトロ』の田園風景を再現した「どんどこ森エリア」。そして、公園の中心には、スタジオジブリの大小様々な資料などを展示・収蔵し、子供の遊び場などを設置した「ジブリの大倉庫エリア」が完成する。

ジブリパークの全体マップ。愛・地球博記念公園の広大な敷地内に5つのエリアが整備される。©Studio Ghibli
ジブリパークの全体マップ。愛・地球博記念公園の広大な敷地内に5つのエリアが整備される。©Studio Ghibli

 23年度には、『もののけ姫』の里山的風景をイメージした「もののけの里エリア」と、『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』などの作品にあった庭園や城が配置される「魔女の谷エリア」も完成し、全面オープンとなる予定。愛知県では、22年秋の3エリア開園時に年間約100万人、23年度のグランドオープン時に年間約180万人の来場者数を予想している。

 世界的にも評価が高い日本のアニメーションスタジオ「スタジオジブリ」。テーマパークの開業1年前を記念して21年7月に名古屋市で行われた「ジブリの大博覧会」には20万人超が来場するなど、期待度は相当に高い。だが、ジブリパークは数々の新たな試みを取り入れ、従来の“テーマパーク”の概念を根底から覆す存在になりそうだ

 特徴の1つがパーク内を動き回るキャラクターがいないことだ。既存のテーマパークでは着ぐるみのキャラクターがエントランスで来場者を出迎えたり、パーク内でパレードしながら踊ったりする光景が当たり前だ。好きなキャラクターと握手したり記念撮影をしたりして触れ合うことはテーマパークならではの楽しみ方でもあるが、「ジブリパークでは、キャラクターが踊ったり、話したりという演出はない」とジブリパークプロデューサーの岡村徹也氏は言い切る。映画に出てきたものをモチーフにしたオブジェや小物はあるが、動いて愛嬌(あいきょう)をふりまくキャラクターはいないという。

魔女の谷エリアに設置される予定の「ハウルの城」の模型。『魔女の宅急便』の主人公キキの実家である「オキノ邸」も配置される。©Studio Ghibli
魔女の谷エリアに設置される予定の「ハウルの城」の模型。『魔女の宅急便』の主人公キキの実家である「オキノ邸」も配置される。©Studio Ghibli

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