2021/10/31

この製法で磨きをかけた辛口の白ワイン「ルバイヤート甲州シュール・リー」は生ガキや刺し身など和食全般に合う丸藤葡萄酒の代表的なワインとなった。

アコーディオン奏者のcobaさんが出演した「蔵コン」(2018年4月)

丸藤葡萄酒はワイン文化の浸透にも力を注いできた。88年、ワインの蔵にアーティストらを招いてコンサートを開く「蔵コン」を始めた。87年に東京駅で「エキコン」が開催されたと聞いた大村社長が「蔵からの情報発信」を思いついた。以来、毎年4月に開催し、既に30回以上を数える。

全国から250人ほどを迎え、ブドウ畑を見ながらワインを楽しみ語り合ってもらう。その後、地下のワイン蔵を舞台にジャズやクラシック、シャンソンなどに耳を傾ける。新型コロナウイルスの影響でここ2年は中止した。2022年春の蔵コンは「なんとか開催したい」と意欲をみせる。

蔵コンはワインを介して交流を図り、その年のワインの出来を占う情報収集の場でもある。国産ブドウだけを使い国内で醸造した「日本ワイン」が注目され始めてまだ10年ほど。「ワイン文化を発信するのには役立ったのではないか」と大村社長。「いずれはワイナリーを訪ねることが日常化することを願っている」と語る。

大村社長はワインに適したブドウ作りに力を注ぐ(甲州市にある自社ブドウ畑の前で)

国内の醸造技術はかつてに比べ格段に向上し、大村社長がいま最も力を注ぐのは、いかにワインに適したブドウを栽培するか。2.5ヘクタールある自社のブドウ畑では在来の甲州種だけでなく、欧州系のカベルネ・ソーヴィニヨンやプティ・ヴェルド、シャルドネなども栽培する。「食事と共に楽しんでもらい明日も頑張ろうと思ってもらえるワインを造りたい」と話す。

(甲府支局長 内藤英明)

[日本経済新聞電子版 2021年10月21日付]