こうした作業で、捨てるべきものをなくした引き出しや押し入れなどには、すぐにものを詰め込まないようにしたい。住まいに限らずどんなところも、空間があいているほうが掃除しやすいからだ。

2つ目のポイントは触りたくない汚れに放置可能な洗浄剤を何度もかけておくこと。 大掃除に関するアンケートなどでは、大掃除したい場所として、キッチンの換気扇やレンジフード、コンロなどが挙げられることが多い。しかしこれらの場所は、落としにくい油汚れが主体で、最も掃除に苦慮する場所でもある。手掛けるとなったらそれなりの覚悟が必要だ。

事前準備で、後の大掃除が楽になるのが、キッチンや洗面所、浴室などの「排水口」だ。ドロドロ、ヌメヌメした汚れに触りたくない人もいるだろうが、本格的な掃除を行う前に、洗浄剤をかける→15分ほど置く→水を流すという手間をかけておくだけでいい。事前にあの気持ち悪い汚れを減らしておけば、負担はだいぶ軽くなる。

ドロドロ、ヌメヌメの正体はおおむね、その場で繁殖したバクテリアだ。そこで、タンパク質を分解する次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした家庭用の塩素系漂白剤スプレーや、パイプの詰まり取りジェルのような洗浄剤を適量使用するのが有効である。

注意点は、こうした塩素系漂白剤は、吹きつけた後にブラシでゴシゴシこするような掃除を想定していないことだ。飛沫が跳ねて目に入ると失明の危険もあるので、「洗浄剤をかけて、流す」という手順がラクであるうえに安全だ。この作業は回数を重ねるほど効果が大きいので、本格的な大掃除を行う日までに、数回繰り返しておくといいだろう。また、ディスポーザー付きのキッチンシンクに塩素系漂白剤を用いると腐食の原因になる。実行する前にシンクの種類を確認しよう。

◇  ◇  ◇

こだわらなければ半年先でも

実は冬の最中である年末は、大掛かりな掃除に適した季節ではない。気温・水温ともに低く、冷えると固まる油汚れなどは落ちにくく、カーテンなどの大きな洗濯物は乾きにくい。合理性からいえば大掃除は暑すぎず寒すぎずの春から初夏、ないしは初秋あたりに行いたいところだ。

年末にこそ大掃除したい、しなければ年を越せないというのは心情的・慣習的側面が大きい。特にこだわりがなければ、年末の掃除は最小限にとどめ、本格的な大掃除は半年先にずらすという選択もいいだろう。

(住生活ジャーナリスト 藤原 千秋)

[NIKKEI プラス1 2021年11月20日付]