スピーチイベント「TED」を見て、自分もあんなふうに聴衆を引きつけるプレゼンができれば……と思ったことのある人は多いでしょう。話術が大切なのはもちろんですが、日本人が何かと苦手なのが身ぶり手ぶりです。「非言語コミュニケーション」のスキルが問われているのですが、認識の甘さがあるようです。

同じ内容を伝えるにしてもジェスチャーで印象は大きく変わります。トランプ前米大統領のようにはいきませんが…… (画像提供:Evan El-Amin/Shutterstock.com)
同じ内容を伝えるにしてもジェスチャーで印象は大きく変わります。トランプ前米大統領のようにはいきませんが…… (画像提供:Evan El-Amin/Shutterstock.com)

誰もが知っておきたい非言語コミュニケーション

 「人間のコミュニケーションの9割は非言語の世界である」

 読者の皆さんもこのようなことを聞いたことがあるのではないでしょうか。言うまでもなく、広報の仕事とはコミュニケーションの仕事です。私も一応はその道のプロを名乗っているので、非言語コミュニケーションには以前から関心を持っていました。

 先日、とある会合で非常に元気の良い女性と話をする機会がありました。いただいた名刺には、こう書いてあったではありませんか。

 「非言語コミュニケーション講師 新木美代」

 私にとって9割が謎の世界の専門家ですから、いわば「氷山の一角」の氷山の下に潜って、その全てを見てきたという人が目の前に現れたようなものです。この時とばかりに早速リモート会議をお願いし、そこで厚かましくいろいろ聞いてしまいました。

 結論を先に言うと、非言語のコミュニケーションは絶対に勉強しておいたほうがいいです。広報として重要なのはもちろんですが、相手との接触のないリモート会議が増えた今の時代だからこそ、全てのビジネスパーソンが知っておくべきだと思います。

好印象で大切なのは「声のトーン」

 さて、広報にとって非言語コミュニケーションといいますと、やはり会社の代表者が発表会のステージ上でする身ぶり手ぶりが頭に浮かびます。「TED」のような海外のスピーチイベントに登壇するプレゼンテーションの名手は、誰もが皆、大きな身ぶり手ぶりで聴衆を魅了しているように思います。非言語コミュニケーションとは、要は「あんな感じでやればいいのかな……」と漠然と思って、私もしたり顔で「もっとジェスチャーを大きく」など発表会でプレゼンする社長にアドバイスをしていました。

 しかし、新木さんからいきなり痛いところを突かれます。

NIKKEI STYLE

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