2023年2月3日発売の「日経トレンディ2023年3月号」 ▼Amazonで購入する では、「ANA & JAL 最新案内」を特集。高止まりを続ける燃油サーチャージ。その反動で存在感を増しているのがLCC(ローコストキャリア)。近年、進んでいるのがJAL、ANAの両グループを中心としたLCCやMCC(ミドルコストキャリア)の再編だ。観光需要が高まるアフターコロナ時代に向けて、中長距離路線を軸に新たな競争が始まっている。

※日経トレンディ2023年3月号より。詳しくは本誌参照

近年、JAL、ANAの両グループを中心としたLCCやMCCの再編が進む
近年、JAL、ANAの両グループを中心としたLCCやMCCの再編が進む

 円安や原油高の影響で高止まりを続ける燃油サーチャージ。その反動で存在感を増しているのがLCC(ローコストキャリア)だ。

 ピーチ・アビエーションやジェットスター・ジャパンなど、多くのLCCが相次いで就航し、「格安航空元年」と呼ばれた2012年から約10年。“空の価格破壊”は新たな局面を迎えている。

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 近年、進んでいるのがJAL、ANAの両グループを中心としたLCCやMCC(ミドルコストキャリア)の再編だ。海外系LCC参入などで競争が激化し、成長を続けていた市場は、新型コロナウイルス禍で激変。出張が激減したことで、ビジネス需要よりも観光需要が高まるアフターコロナ時代に向けて、中長距離路線を軸に新たな競争が始まっている。

 JALは、21年6月に中国路線に強みを持つLCCであるスプリング・ジャパンを子会社化。傘下のジェットスター・ジャパンとともに国内や中国、台湾、フィリピンといった近隣の国際線需要をカバーする。

 JALグループの中で異色ともいえる存在が、コロナ禍の20年に運航を開始したジップエア トーキョー(以下、ジップエア)だ。使用機材は客室に通路が2本あるワイドボティ機「ボーイング787–8」で、航続可能距離は大型ジェット旅客機並み。21年12月には“LCC初の太平洋横断路線”となる成田−ロサンゼルス線に就航し、続く22年には、成田−サンノゼ線も開設した。機内には長時間移動に向くフルフラットシートも用意するなど、従来のLCCの常識を覆すようなサービス内容が特徴的だ。今年はボーイング787–8の機数を増やし、新規路線の開拓や既存路線の増便を検討していく。

 一方、ANAグループで気を吐くのがピーチ・アビエーション(以下、ピーチ)。19年にバニラ・エアを統合し、現在では国内31路線、国際18路線に就航。国内最大規模のLCCとして存在感を高めている。最近では行き先を選べないカプセル型自販機「旅くじ」や、国内13路線が期間限定で乗り放題になる「Peachホーダイパス」(数量限定。現在は終了)などの施策でも注目を集めた。

 22年には新型機「エアバスA321neo(LR)」を導入し、ピーチ初となる中距離国際線、関西−バンコク線に就航。観光需要復調の波に乗り、守備範囲を急速に広げている。

 ANAグループの切り札が、23年度下期に就航を予定している“第3のブランド”「エアージャパン」だ。「FSC(フルサービスキャリア)とLCCのハイブリッドを目指す」(同社)とし、同グループのピーチとかぶらない東南アジアやオセアニア方面へ向けた低価格な中距離国際線を検討している。成田空港を拠点とし、使用機材にはボーイング787–8を採用。競争が激化する中長距離国際線LCCの台風の目となりそうだ。

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