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資生堂のスキンケア「BAUM」 樹木由来の成分

Hot Zone

2022.5.1

店頭ではナラやヒノキの苗木を育てる。ある程度の大きさに育った後、岩手県の山地に植樹する

資生堂は2020年から自然との共生をテーマにしたブランド「BAUM(バウム)」を展開する。木のもつ貯水機能や生命力をイメージした化粧水など、樹木由来の成分を配合したスキンケア商品を扱う。化粧水が約7000円という高価格帯ながら、サステナビリティーの考えに共感する20代を中心に支持を集める。




店舗には苗木を育てる一角もある

バウムは伐採と植樹を繰り返して活用された樹木をサステナビリティーの象徴として位置付ける。店舗には苗木を育てる一角がある。植樹をブランドの活動に組み込むことで、恵みを受け取って自然に返す循環を作っている。店頭で育てるナラやヒノキの苗は、一定の大きさになると資生堂などが管理する岩手県の山地に植樹する。植樹は21年秋に初めて行った。

17年から立ち上げに関わったブランドマネジャーの西脇文美氏は「世の中にとって良い選択をすることに幸せを見いだす、新しい豊かさを提案することにチャレンジした」と話す。

ニッチな消費者を対象にするのではなく、大手企業が長期にわたり運営する間口の広いブランドとして立ち上げるにあたり、思想を押しつけないことが大切だった。消費者は見せかけの環境対応を鋭く見抜き、考えを押しつけるような姿勢には拒否反応を示す。

そのため、消費者が直感で「すてき、欲しい」と思える商品をつくることを第一にする。家具用の高級木材とガラスやプラスチックを組み合わせた容器は、生活空間をおしゃれに彩るスタイリッシュなデザインに仕上げている。商品に関心を持った人に、後から思想に共感してもらえるコミュニケーションのあり方を設計した。