ひらめきブックレビュー

組織や仕事を離れ「越境」楽しむ 自分を高める働き方 『みんなのアンラーニング論 組織に縛られずに働く、生きる、学ぶ』

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

副業解禁、テレワーク推進など働き方をめぐる状況がここ数年で大きく変化している。経営陣や上司の指示に従うだけでなく、より自立した働き方が求められるようになっている。とはいえ、具体的にどう働けばいいのかわからず、不安にさいなまれる人も少なくないのではなかろうか。

本書『みんなのアンラーニング論 組織に縛られずに働く、生きる、学ぶ』は、仕事に必要な知識やスキルをその都度身につけていくのではない「アンラーニング」という考え方を軸に、これからの働き方・生き方を広い視野で問い直す一冊だ。旧来の価値観や慣習、組織などに縛られない働き方を実践する5人の先駆者を紹介しながら、時代に取り残されず、かつ自分らしい生き方のヒントを提供している。

著者は法政大学経営学部教授の長岡健氏。組織論、社会論、コミュニケーション論、学習論の視点から、創造的な活動としての「学習」を再構成していく研究活動に取り組んでいる。

■目的を持たずに「越境」する

アンラーニングとは何か。組織論の文脈では「不適切となった既存の習慣、知識、価値基準などを捨て、新たに、妥当性が高く、有用なものに入れ替えること」を意味するそうだ。要はこれまで培ってきたものをバッサリ捨て去り、ゼロから構築し直すということだろう。しかしながら、ゼロから何を入れていけばいいのだろうか。

長岡教授は、それを見つけるには「越境」が鍵を握ると説く。ここでの越境とは、自分が所属している組織や仕事から離れ、異なる価値観を持つ人と交流することなどを指す。例えば、目的を持たずにぶらりとセミナーに出席したり、行政の街づくりプロジェクトに参加したりといった行動だ。

自らの価値観や既存の知識で守られた「コンフォートゾーン」の外に出るのは勇気がいるが、長岡教授は、越境そのものを楽しみ、結果よりもプロセスを重視してほしいと述べる。「こうなりたい」と結果を求めずに、成り行き任せでどうなるかを楽しむことで、自然体のアンラーニングができるのだと解釈できる。

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

関連キーワード

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。