新潟ワインコーストの個性派ワイン 海、砂、風が育む

2022/1/30

新潟市西蒲区角田浜。日本海を望むようにそびえる角田山の麓に5つのワイナリーが集積する場所が通称「新潟ワインコースト」だ。海岸まで約1.5キロメートルの砂地が生み出すワインはいずれも個性派ぞろい。レストランやワインショップもあり、観光スポットとしても人気を呼ぶ。

新潟ワインコーストの中心となるカーブドッチの今井卓社長

中心となるワイナリーが1993年オープンのカーブドッチだ。現在、所有するブドウの木は約2万本。750ミリリットル換算で年間9万~10万本を生産する。代表銘柄「サブル」をはじめ提供するワインは約30種類。レストランのほか宿泊施設、日帰り温泉、ワインショップなどを併設する。

「創業者が角田山を見てひらめいたようだ」と今井卓社長。海に近く、まとまった土地があったのもこの地でワイナリーを開く決め手となった。ただ砂地のため、水はけが良い代わりに土地の栄養分は多くない。コンスタントに植えている品種は20。その砂地が生むワインは重くなく、繊細で華やかな香りのする複雑な味わいが身上だ。

特に力を入れるのが20年ほど前に導入したスペイン北西部原産のアルバリーニョという品種。海に近いガリシア地方で栽培され「海のワイン」とも呼ばれる。華やかな香りで酸味がしっかりと残り、この地の気候風土にぴったりと合った。「ようやく収穫量がまとまってきた。この1~2年で白ワインの定番として前面に打ち出したい」と今井社長は力を込める。

ワインコーストの発端は、新潟にワイン造りを根付かせ仲間を増やす狙いでカーブドッチが2005年に始めたワイナリー経営塾だ。ブドウ栽培から仕込み、ワイナリー経営に至るまで働きながら学ぶ仕組みで、これまで10人ほどが学んだ。巣立った醸造家が同じ場所でそれぞれのワイナリーを開き、ワインコーストが形成されていった。

「サステナブルなワインづくりを心がけている」と話すフェルミエの本多孝氏

06年にワイナリー「フェルミエ」を立ち上げた本多孝氏もその一人。アルバリーニョを主にピノ・ノワールなどを栽培する。目指すのは海や砂、風など土地本来の個性を表現する優れた品質の「ファインワイン」。農薬や亜硫酸をなるべく使わず「サステナブルなアプローチのワインづくりを心がけている」と話す。

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