気になるのは日本の商品との味の違いだ。カレー味は日本産に近い一方で、スキヤキなどは名前からしても現地向けのような気がする。同社広報部に聞くと、「日本のものとは違う独自フレーバーのラインアップで展開している」そうだ。
日本食はロンドンで根強い人気を持つ。すしやラーメンはもとより、最近では21年にオープンした「丸亀製麺」に長蛇の列ができるなど、地元住民に受けている。日清HDによるとカップヌードルや袋麺の売れ行きも好調で、ハンガリー新工場建設からの5年で年間生産量は2倍に増えた。
デフレ心理が染みついた日本とは違い、ロンドンでは光熱費や外食代などで日々インフレを感じる。そんな中で手軽に日本に近い味を楽しめるカップヌードルの存在はありがたい。ただつい欲が出て、高い値段をかけてでも懐かしい本場の味を確かめたい気にもなる。
(ロンドン=佐竹実)
[日経MJ 2022年1月17日付]