2021/11/28

現在栽培している主なワイン向けのブドウ品種は「小公子」や「ヤマソービニオン」など数種類。醸造の際、酸化防止剤である亜硫酸塩は使用しない。培養酵母も添加せず、天然酵母のみで醸造する。14年からは委託生産したワインを販売していたが、19年に自前の醸造所が完成した。

実際にワインを飲むと、ほのかな果実そのものの香りが口に広がり、どんな食べ物にもよく合うすっきりとした味わいだ。福島さんは「ブドウの自然な味わいを楽しめる。日本国内ではここまで有機農法や天然醸造にこだわったワインはないはずだ」と自信を見せる。

武蔵ワイナリー代表の福島有造さんは日本酒の杜氏も務める「二刀流」醸造家だ(埼玉県小川町の武蔵鶴酒造)

福島さんはブドウ農家、ワイン醸造家の他に、日本酒の杜氏(とうじ)という顔も持つ。ワイン生産に先立ち、小川町の老舗酒蔵「武蔵鶴酒造」で酒造りのイロハを学んできた。15年からは先代杜氏の引退に伴い、武蔵鶴の杜氏に就任。現在もワイン、日本酒の「二刀流」を続ける。

武蔵ワイナリーは販売所で自社のワインや武蔵鶴で醸造したオリジナル日本酒などを販売する。お酒と有機野菜を組み合わせた食のイベントなども開催してきたが、新型コロナウイルスの影響でここ1年半ほどは多くが中止・延期になった。

「緊急事態宣言が解除され、ようやく正常化した。ブドウ生産、醸造、販売と農業の6次化を進めたい」と福島さん。小川町が有機ワイン生産の一大拠点になる日を夢見ている。

(さいたま支局 岩崎貴行)

[日本経済新聞電子版 2021年11月18日付]